Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

なでしこと対戦する NZ代表 Football Ferns

2008-07-30 | Aussie & Kiwi
今週初めから南半球のニュージーランドに来ている。7月末の南半球は真冬。真夏の日本からの気候の変化に覚悟はしていたものの Auckland 空港に降り立つや豪雨と突風の出迎えには閉口した。おかげで仕事が終わってもホテルに直帰。寒さの苦手な私はとても外の出る気がしない。

ここニュージーランドで今最も話題となっているスポーツの Subject は五輪ではなく Tri Nations Rugby 。先週末には Sydney で ALL BLACKS が Wallabies に 19-34 で敗れた。前のブログでも書いたが Wallabies の監督は元 Crusaders の監督でニュージーランド人の Robbie Dean。昨年ワールドカップ終了後次の ALL BLACKS の監督になるものと誰もが思っていたのがラグビー協会 NZRU は Graham Henry 監督の続投を決め、その決定を受けて同じくワールドカップでベスト8に終わった Wallabies の後任監督にRobbie Dean がいち早くノミネートされそのまま Wallabies の指揮を執る事に。 その Robbie Dean の指揮する Wallabies にさっそく ALL BLACKS はアウェーとはいえ完敗を喫したのだ。 これで Robbie Dean が監督就任後 Wallabies は5連勝。( Ireland, France に2連勝、Tri Nations で 南ア、ニュージーランドに連勝。)試合終了後スタンドで試合を見守っていた Dean 氏にサポーターの一人が Gold and Green のマフラーをかけるなど完全に地元の人々のハートを掴んだとニュージーランドの新聞は述べている。 タクシーの運転手が “ここでは半分以上が Wallabies を応援しているよ。”と言うほど Robbie Dean の渡豪を許した NZRU に地元の人達は不信感を抱いているらしい。
8月2日に Auckland でリターンマッチが行われる。この試合にALL BLACKS が敗れれば2005年以来勝ち取り続けていた Tri Nations のタイトルは奪われる事となり、Graham Henry 監督のクビも危うくなるらしい。この試合で Dean はブーイングを浴びるのだろうか…… 

北京五輪開幕まで10日を切った。開幕前の8月6日から女子のサッカーが始まる。そしてなでしこジャパンはニュージーランド代表 Football Ferns との試合に臨む。

“この試合が我が国にとって最初の出場種目。勝ち星を挙げて後に続く選手団のモチベーションを上げたい。”

こう語るのは日本代表の佐々木監督だけではない。 Ferns の John Herdman 監督も同じだ。 7月29日。雷雨の為に打ち切られた男子の日本五輪代表対アルゼンチン代表戦の前に行われた女子の日本対アルゼンチン代表戦でなでしこ達は2-0 とアルゼンチンを一蹴。24日に行われたオーストラリア女子代表 Matildas も 3-0 で降している。共に五輪出場国では無いが上位進出を考えればなでしこ達の方がずっと可能性が高いのではないか???? しかしそれでなくてももっとなでしこジャパンを報じたり女子サッカーの展望などを論じる専門誌があってもよいのではないかな?????ならば私がと言う訳ではないが、仕事の担当地域でもあるニュージーランドが初戦の相手なのでここで Football Ferns と呼ばれるチームを分析してみよう。

2007年ワールドカップに出場
オーストラリアがAFC に移ったことからオセアニア地域は New Zealand 以外に対抗できる代表チームが無く無風で昨年中国で開催された女子のワールドカップの出場権を得ることが出来た。しかし戦績は3戦全敗。 Brazil 0-5, Denmark 0-2, 中国 0-2 。勝ち点も得点もあげられずに1次リーグ敗退となった。しかしこれはある程度予想された結果らしく、むしろ16年ぶりに世界の大会に出場した事を女子サッカーの興隆のきっかけとしたいらしい。 このワールドカップメンバーに選ばれたメンバーの中から12人が北京五輪メンバーに選出されている。また同時に昨年開催された FIFA U-20 選手権のメンバーも多く含まれている。
Football Ferns のメンバーは下記の通り。

Goalkeepers: Jenny Bindon (Waitakere City), Rachel Howard (TSV Crailsheim).

正GKは何と言ってもアメリカ生まれの35歳のベテラン選手 Jenny Bindon。ワールドカップ3試合はフル出場。文字通りチームの精神的重鎮でもある。ワールドカップでは劣勢の中雨あられと降る相手のシュートを何度も防いだシーンが印象的。 なでしこ達は彼女が守るゴールをこじ開けねば勝利はない。(当り前か…….)第2GKのRachel Howard はワールドカップメンバーであったが Bindon の控え。五輪代表決定後の7月16日、中国代表との試合で残り30分だけ出場した実績があるが、もし大会期間中に Bindon が怪我等で離脱した時。彼女がその代役を務められるか…….. 

 

Defenders:
Anna Green (Three Kings United)
Abby Erceg (Western Springs)
Kristy Hill (Three Kings United)
Marlies Oostdam (Eastern Suburbs)
Ria Percival (FC Indiana)
Rebecca Smith (Sunnana SK)

Ria Percival は米国リーグ FC Indiana に所属する19歳のフルバック。2006年FIFA U-20 にフル出場し昨年のワールドカップにも3試合スタメン出場。Abby Erceg も19歳ながら代表歴25試合の実績を持ち2006年FIFA U-20に出場し、ロシア戦では2-3 と敗れはしたがゴールを決めている。そして2007年ワールドカップにフル出場。Rebecca Smith はスウェーデンリーグでプレーする27歳の“ベテラン選手”で2003年ワールドカップ予選からのメンバーで昨年のワールドカップには3試合フル出場でチームキャプテンも務めた。この3人に加えて左サイドバックのスペシャリストAnna Green か30歳のベテランでワールドカップメンバーでもあった Marlies Oostdam のいずれかで4バックを組むと思われる。Oostdam そして Smith が怪我で大会に間に合うかが危ぶまれたが二人揃って7月26日のカナダ戦 ( 1-1 の引き分け ) にフル出場を果たした。DF陣はなでしこ達よりフィジカルで勝るかもしれないがここはテクニックで翻弄をしたい。

Midfielders
Katie Hoyle (Lynn Avon United)
Emily McColl (Cocoa Expos/Coastal Carolina University)
Hayley Moorwood (Lynn Avon United)
Ali Riley (Stanford University)
Kirsty Yallop (Lynn Avon United)

守備的 MF の Ali Riley, Katie Hoyle がスタメン候補最右翼。日本戦はともかく、ノルウェー、アメリカと格上相手に押し込まれる展開が続くであろうからこの二人のプレーに期待がかかる。特に Riley はFIFA U-20, そして昨年のワールドカップにも出場した実績がある。Kirsty Yallop は2006年のFIFA U-20 メンバーながら昨年のワールドカップは怪我で選出されなかった。その悔しさを五輪にぶつけてくるだろう。 3月の五輪予選のパプアニューギニア戦 ( 2-0 ) 、そして同じく3月の韓国での Peace Queen Cup の韓国戦 ( 1-2 ) でゴールを挙げて復活をアピール。五輪メンバー選出後4試合すべてにスタメン出場を果たしている。 Hayley Moorwood はワールドカップメンバーで3試合スタメンを果たしている。23歳ながら代表歴33試合で3得点の実績。またワールドカップメンバーで3試合すべてにスタメン出場を果たした Emily McColl はPeace Queen Cup ではアルゼンチン戦 ( 1-0 ) カナダ戦 ( 0-2 ) に出場を果たしたが五輪代表発表後の5試合では7月16日の中国戦 ( 1-3 ) と26日のカナダ戦 ( 1-1 ) に途中出場をしたのみでプレー時間も合計33分間。怪我でもしているのか? 
そしてMFでは FIFA U-20 に出場しワールドカップメンバーでブラジル戦、デンマーク戦に出場した Emma Humphries が選ばれていない。 怪我でもしてるのかな?もしそうなら Football Ferns にとって大きな痛手だ。 MFは守備偏重で攻撃に少し難があるかもしれない。 

   

Forwards:
Amber Hearn (Lynn Avon United )
Emma Kete (Lynn Avon United)
Renee Leota (Western Springs FC)
Merissa Smith (Three Kings United)
Rebecca Tegg (Eastern Suburbs)

Rebecca Tegg の怪我からの復帰が心強い。昨年のワールドカップのブラジル戦は前半で退いたがそれ以来の代表復帰だ。(おそらくブラジル戦で負傷したままプレー出来なかったのではないか??) また元 Arsenal のストライカー Amber Hearn が3年ぶりに代表に復帰した。Tegg はまだ7月16日の中国戦で55分間、20日の中国戦 (0-1) で17分間そして26日のカナダ戦で18分間出場をしただけで日本戦のスタメンに出てくるかは微妙だが、Tegg が出ないとなるとFIFA U-20 に出場した Emma Kete 同じく U-20 メンバーの Renne Leota のいずれか、または二人がツートップを組むかもしれない。 

  

上記した通りこのチームには20歳未満の選手が5人含まれた平均年齢22歳の若いチームだ。チームの指揮を執るイングランド人の John Herdman 監督は就任2年を過ぎこの大会が一つの集大成となっているらしい。 3月8日にポートモレスビーでパプアニューギニアを 2-0 で降し五輪予選突破を決めると翌週には韓国で開催された Peace Queen Cup に参加。五輪予選前もオーストラリアで Matildas と3試合行い ( 0-2, 1-2, 2-4 で3連敗 ) 代表発表後も4試合を組んだ。 7月12日 Sydney オーストラリア 1-2, 7月16日青島 中国 1-3, 22日青島 中国 0-1, 7月26日シンガポール カナダ1-1 。 
勝ち星こそないが暑さ対策それから実際に試合を行い青島で中国と2試合行うなど ”ニュージーランド“にしてはずいぶんと周到な準備をしている。そして26日のカナダ戦での引き分けは非常に自信を深めたのではないか??昨年12月には中国協会の招待で中国遠征も行っている。なでしこ達の準備は大丈夫か………
ニュージーランド女子はFIFA ランク24位となっている。日本は10位、ノルウェー5位そしてアメリカ1位となっているが Football Ferns もなでしこもとにかく初戦は絶対に勝たねばならない試合。8月6日は当地ニュージーランドで完全アウェーの状態で??なでしこ達の健闘を祈りながらテレビ観戦となりそうだ。

今年11月19日から12月7日、南米のチリで女子のU-20選手権が開催され日本もニュージーランドも出場権を勝ち得ている。そして10月28日から11月16日まで第一回 FIFA U-17 Women’s World Cup がニュージーランドで開催される。日本も韓国、北朝鮮と共に出場権を得ている。この五輪をきっかけに更なる飛躍をと思っているのは世界中どこでも同じと言うことだろう。

またブラジル、ベルギーそして中国と同じ組に入った男子の五輪チーム Thai Airways Ply-Whites のメンバーは下記の通り。

Goalkeepers:
Liam Little (Caversham AFC/Otago United), Jacob Spoonley (Miramar Rangers)

Defenders:
Michael Boxall (Santa Barbara University), Ian Hogg (Western Suburbs/Hawke's Bay United), Sam Jenkins (Western Suburbs/Hawke's Bay United), Ryan Nelsen (Blackburn Rovers), Steven Old (Macarthur Rams), Jack Pelter (unattached), Aaron Scott (Melville/Waikato FC), Cole Tinkler (Miramar Rangers/Team Wellington).

Midfield:
Jeremy Brockie (Miramar Rangers/Hawke's Bay United), Simon Elliott (unattached), Craig Henderson (Dartmouth College), Cole Peverley (Stop Out FC/Hawke's Bay United), Shaun van Rooyen (Western Suburbs/Waikato FC).

Forwards:
Daniel Ellensohn (Western Suburbs/Team Wellington), Chris Killen (Celtic FC), Sam Messam (Napier City Rovers/Hawke's Bay United)

Management:
Stu Jacobs (head coach), Jonathan Gould (assistant coach/goalkeeper coach), Jim Hogg (manager), Andy Foskett (sports science), Justin Lopes (physiotherapist), Andy Smith (trainer), Jake Pearson (doctor). 

  

特筆すべきは Premiership の Blackburn Rovers の中心選手 Ryan Nelson が 所属先の Rovers が“最初の2試合までなら”と言うことでリリースを認めてOver Age として選出されたこと。どこかの五輪チームと対照的だ。ジャカルタでインドネシア代表に 1-2 で敗れるなどしているが Ryan Nelson が合流する五輪ではどういう結果を残すのだろう?8月7日の初戦は瀋陽で地元中国と。そして10日にブラジル、13日にベルギー戦と続く。

サッカーはどこにでもある。南半球のオセアニアでもサッカーを愛する人がいるのだ。

そんな人とまだ五輪のサッカーに就いて話していないなぁ………. それにしても何と言う氷雨だ。

中国も日本もかなり蒸し暑いのだろうなぁ……..