Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

日韓戦観戦3連敗  前半さすが朴智星

2010-05-30 | 夏季五輪
後半から投入された19番朴主水がペナルティースポットにボールをセットする。右隣の息子も周りの人も一斉にブーイングを送る。
東アジア選手権では中国戦で楊昊のPKをストップした楢崎に期待がかかるが朴主水は落ち着いて右下隅にPKを決め韓国のリードは2点となった。 韓国サポーター達の大歓声がこだまする。そしてタイムアップ。  2月の東アジア選手権に続いて韓国戦2連敗。 
“よし。帰るか。” 息子に声を掛け、出口に向かう。 “雨はやんでいるみたいだなぁ。” 
スタンドからの出口付近で息子と2人で記念写真を撮った。中学に入ってこうやって一緒に写真を撮らせてくれなくなったけどこの日はあっさりと撮らせてくれた。デジカメのシャッターを押してくれた人に丁寧に礼を言って競技場を後にする。 
背後で何やらマイクを通して話す声と拍手が聞こえた。後で知った事だがワールドカップに向かって旅立つメンバーを代表して川口が挨拶をしていたところだった。 
“あぁ~あ、完敗やな。”
“でもワールドカップで勝てばいいんじゃねぇ?”
“誰が良かった?”
“長友と大久保のドリブル。俊輔と遠藤はダメだった。朴智星はすごくねぇ?”
“そうやなぁ。さすが Manchester United やな。”
“安貞桓みたかったなぁ….”

親子でこんな話をしながら帰途に着いた。 苦戦するとは思っていたけどここまでやられると言うよりもやれないとはなぁ…
でも親子で写真が撮れたのは嬉しかった。 これが最大の収穫か?
背後からは“テ~ハミングック !! “ の大歓声とアリランの大合唱が聞こえてくる。 

 ワールドカップ直前に組まれた日韓戦。この時期に結果が重視されるカードが組まれる事が不思議だった。 
それは今の韓国代表が日本に負けないと言う自信の表れだろう。 
だが近所のさいたまスタジアム2002 で開催されると言う事で私達親子は非常に楽しみにしていた。



久々の親子観戦。 あいにく天気予報通り雨が降っていた。しかしそれほど強くなく試合中には止むのではないか?と思った。 
日韓戦と言えば雨が多かったらしい。 雨になると中盤からパスを繋いでビルドアップをはかる日本の方が不利と言われ続けていたが最近の韓国はテクニックも上がり、けっこうパスを繋ぐサッカーをしてくる。それでいてアジアレベルトップクラスのパワーを前面に出して押してくるいつもの韓国も健在だ。

競技場に着いたのはキックオフの約50分前。 両国の選手達が丁度ピッチ上に出て来てアップを始めるところであった。
ピッチ上には小雨が降り続いていた。両チームともスタメン組とベンチ組でアップが分かれているが、日本はこの試合に出場しないと言われた遠藤がスタメン候補達とアップをしていた。 
そして韓国は坊主頭の車ドゥリがどうやらスタメン組みでそして安貞桓を探したが座席からでは解らなかった。
“もうちょっと前の方が取れればよかったんだけどな….” “充分、充分。 あんまり前だと雨に濡れるよ。“
子供に慰められてしまった。やがて選手達が控室に戻り、スタメンの発表が始まった。
韓国代表はGKが李雲在ではなくエクアドル戦に続いて鄭成竜。 これでワールドカップのGKの定位置はちょっと解らなくなって来た。
DFには2002年のメンバー李栄杓が左サイド。CBには李正秀と郭泰輝の J-League コンビと云うよりも京都サンガコンビ(李はもう違うけど)そして右サイド車ドゥリ。息子に車が2002年のメンバーで(俺がお前くらいの時に)父親がアジアを代表する選手だった事。そして今はドイツでプレーしている事等を説明する。
ボランチはかつてグランパスに所属していた金正友とCeltic の奇誠庸。そして中盤は右が李青竜、左が朴智星。朴智星がスクリーンに映ると韓国サポーターから更なる大歓声が。そして日本サポーターからはブーイングもあったけど拍手も少なくなかった。 
FWは李根鍋と廉基勲。 朴主水も安貞桓もベンチスタートだった。 李根鍋がジュビロ磐田所属だった事は息子も知っていて
。“この前、レッズ戦観に来た時出ていた。”と教えてくれた。あぁそうか、もう友達とくる年齢なんだな。お前も。
“それでその試合は?” “負けたよ。 高原がシュート外しまくって負けた。” あぁあの時の試合か…

一方の日本代表だが、数日前新聞には内田、遠藤、稲本,松井らはコンディションの事もあり出場しないと報道されていたが、遠藤はスタメンに名を連ね、闘莉王がメンバーから外れていた。後で知ったが練習中に足に違和感を感じたらしい。
そしてCBに息子のお気に入り地元浦和レッズの阿部が起用された。 サイドバックには右に今野、左に長友が起用された。 
そしてベンチメンバーに香川や酒井、山村そして永井と云った23人のメンバー以外のサポートメンバーの選手達が入っていた。息子に訊かれたので。 “まだメンバー変更がきくからその為に入れたんじゃないかな?” と答えたが、まさか起用はされないだろうと思った。でも香川は展開によっては使ってほしかったか??

                                GK 1鄭成竜

       24 車ドゥリ   30 郭泰輝   25 李秀正   17 李栄杓

              28 金正友                   22 奇誠庸

    27 李青竜                                          14 朴智星

              12李根鍋                   10 廉基勲

                              9 岡崎 
   
      16 大久保、        18本田              10 俊輔
 
                7遠藤                 17長谷部
 
       15今野    2阿部      22中澤        15長友

                             GK1 楢崎

大歓声に包まれて選手入場。国歌斉唱を経てキックオフとなったが君が代の斉唱は EXILE の TAKAHIRO 彼の登場にも一際高い拍手が送られ。左隣の息子も喜び気味。 EXILE の素晴らしさは私よりも息子の方がよく知っているみたいだ。俺も歳だなぁ……

大歓声のなか日本のキックオフで始まった試合は開始早々は日本が比較的よく韓国陣内でボールを回すが韓国の厳しいチェックが目立つ。3分12秒、左サイドで岡崎が郭泰輝に倒されFKを得る。この FKを遠藤がファーサイドに上げ中澤が李正秀の上からヘッドを放つがゴール枠は捉えられない。しかし最初にシュートに持ち込んだ事で何とかリズムが出てくればと思った直後の5分38秒、中盤で遠藤が大久保にヘッドで送ったところを金正友にカット。そのこぼれ球を朴智星が長友に競り勝ち奪うといきなりトップスピードのドリブル突破を見せ今野を振り切り、慌てたDF陣 阿部、中澤そして遠藤がマークに入るがチェックを受けることなく放ったドリブルシュートは楢崎の手を掻い潜りゴール左隅に決まりあっという間に先制ゴールを決められてしまった。 韓国サポーター席から大歓声が。そして我々の周囲から大きな溜息が洩れる。 まだ試合に入り切る前の選手の“虚”を突いた、左サイドのポジションから右に移って来た何人もの日本代表選手をあっさりと振り切った名門 Manchester United で主力を張る朴智星の素晴らしいドリブルシュートだった。  1976年3月東京で行われたモントリオール五輪予選の日韓戦で開始2分に李栄武に奪われた先制ゴールを思い出した。 



この立ち上がりの先制ゴールはただの1点ではなく朴智星の存在感、そして韓国の“強さ”を見せ付ける大きく重い1点と感じた。 
何とか日本の挽回をと期待するその直後、中盤で長谷部の縦パスを受けた岡崎がドリブルシュートを放つが惜しくもゴールラインを割る。岡崎はCKをアピーするがアトウェル主審はGKの判定。後でリプレーを見てみると李秀正のかかとにシュートが当たって方向が変わっていた。
7分29秒、韓国がカウンターから日本ゴール前に迫り、今野が李青竜を倒してFKを与える。奇誠庸、廉基勲そして李栄杓の3人がボールに駆け寄るが座席から見るとゴールが良く見えて危険な気がしてならない。 


だがここは廉基勲が蹴ったFKが壁に当たって事なきを得た。 日本はどうも足元へのパスが多く、スペースにボールが出ない。遠藤にボールが渡ってもすぐに韓国MF,DFからのプレスが早く後ろに戻させられている。流れを変える展開をする為にももっと大きくオープンスペースを使えばと思ったが。
10分26秒、大久保がその左サイドをドリブルで突き車ドゥリ、カバーに回った李栄杓をかわし中に入ろうとするとことを李栄杓に倒されFKを得る。遠藤が入れたFKからは得点は生まれなかったが、韓国右SBの車ドゥリは元々攻撃の選手なので守備には不安がある。実際に開始から本田になんども振り切られていたし、正面からでも止められないシーンも。だからここをガンガン突けばいいと思うのだけど..
12分51秒、韓国がCKを得ると CB の郭泰輝185cm 、李秀正 185cm 奇誠庸 186cm そして金正友 183cm ら長身選手が上がってくる。そしてファーサイドの金正友が中澤に空中戦で競り勝つが逆サイドに飛んだヘッドはポストの左に外れてくれた。 こうなると闘莉王の穴が響いてくる。岡田監督はなぜ岩政を使わなかったのだろう?
16分には朴智星が倒されFKを献上する。奇誠庸がファーサイドに放り込みここは長谷部がCKに逃れるが、このFKは左サイドに流れたボールを朴智星が長躯掛け戻り粘ってスローインを得た事から始まったもの。そして再びボールが渡った朴智星に中澤、俊輔、長友の3人がかりでマークにはいりやっとファールで止めたもの。 こういう動きもさすがと思わせる朴智星のプレーだった。
そして息子が突然言った。“俊輔ボールに触って無いじゃん?” そういえばここまで俊輔は完全に消えていたのか消されていたのか、全く目立たなかった。調子が悪いのかそれとも足首の具合が悪いのか?前半で交替かな?と思わせるくらいのパファーマンスだった。
17分にインターセプトをした長谷部の縦パスを受けた本田がドリブルで上がり李秀正の後方タックルで止められ、20分には奇誠庸から李青竜に渡るところを今野がインターセプトし大久保に送り、大久保がそのままドリブルで持ち込み郭泰輝がマークに入る前にシュートを放ったが、ここまで本田と大久保のドリブル以外は攻撃のチャンスが生まれそうに無かった。そして韓国PA付近では中々自由にボールを持たしてくれなかった。 本田には奇誠庸、金正友がしっかりとマークに着くがむしろ本田が守備に戻るシーンも出て来た。 本田はトップでどんと張ってくれた方が良いと思うのだけど。 それにしてもこの2人がドリブルで前に上がってもサポートが少し遅いなぁ….そしてこぼれ球への寄せも韓国が一歩先んじている。
21分39秒、俊輔のスルーを相手陣内の右サイド深い位置で受けた長谷部が入れたクロスにファーサイドの大久保がオーバーヘッドシュートを試みるが、このシーン初めて俊輔が前線に良いボールを送ったシーンだった。 そして俊輔が右サイドにも出て来るようになったが周りとの呼吸が少し合わない。 内田欠場の影響か? 28分30秒遠藤が中盤からロブを送り岡崎がヘッドで落としたところを左サイドを上がった今野が車ドゥリを振り切ってクロスを入れた。 これはGK鄭成竜がキャッチしたが、この試合初めてパスが繋がりクロスまで持ち込んだシーンそして 29分28秒にも遠藤から岡崎に渡り右サイドを上がった長友が奇誠庸、李栄杓を振り切りCKのチャンスを得るなど両サイドを突破する攻撃を見せたが今野がもっと上がって守備に不安のある車ドゥリを突けばチャンスは出てくると思った。
32分14秒大久保がドリブルで中央から右に動きマークする車ドゥリを振り切り右サイドの本田にボールを出す。本田が李栄杓、奇誠庸を引きずるようにシュートに持ち込みCKを得るがこういう強引なシーンが今の日本にもっとも欲しいところ。そのCKをセットする俊輔に韓国サポーター達からダイブーイングが。 そのCKは僅かに長谷部、大久保に合わない。ここで感じるのは闘莉王の欠場。南アフリカではこういう時どうするのだろう?
40分を過ぎたあたりから先制ゴール以降日本DF陣を崩すシーンがあまりなかった韓国が再び攻勢に出てくる。40分54秒車ドゥリが攻撃参加しドリブルで大久保、本田、阿部ら3人の日本選手を跳ね飛ばしてPA内に侵入する。最後は廉基勲のシュートを中澤がヘッドでCKに逃れるが“さすが車ドゥリ”と思わせる攻撃力だった。
“おぉすげぇぇぇ~” 隣の息子からも感嘆の声が漏れた。
42分にも車ドゥリの突破から最後は朴智星がシュートに持ち込むがここはその前に朴のハンドを取られた。その朴智星は44分に絶妙のスルーを出すがここは奇誠庸がわずかにオフサイド。終盤の猛攻は何とか失点に繋がらず 0-1 で前半を終えた。
本当に朴智星のすごさを見せつけられた前半だった。先制ゴールのドリブルシュートだけでなく長友にボールを取られながら必死に追いかけそこからピンチを広げさせなかった38分に見せたプレー、どれをとってもこの日の日本代表には見られなかったプレーだった。それにしても代表は大丈夫かな? ちょっと同点ゴールの期待が感じられない最後の5分だったなぁ…



後半に続く 


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