Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

最終予選進出決定 サワディ~カップ コンタイ

2008-06-21 | 夏季五輪

タイではサッカーは最も人気のあるスポーツ。6月14日のワールドカップ予選の日本戦は1998年のアジア大会の韓国戦同様Rajamangala Stadium は満員の観衆で埋まる。その熱狂的なサポーター達の前で日本は戦わねばならない。また現在のバンコックは気温35度と非常に暑く湿度も高く気温40度のオマーンの首都マスカットよりもコンディションは劣悪…..

オマーンとのアウェーゲームを終えた後発刊された専門誌に上記の様なバンコックでのタイ戦の“見通し”が紹介されていた。この記事を書いた人は欧州や南米以外の東南アジア等の地区を題材に記事、コラムを書く人で私も一目おく人だ。
欧州の事など欧州のWEB SITE や新聞、雑誌をみれば日本人記者が書くことなど幼稚に思えるほど。私が金を払ってまで見たいのはそこでしか見られない情報や資料。それだけにこの人の記事でしか見られないアジアの記事を読むのは楽しみでもあった。しかし上記の書き出しを見た時はかなりがっかりした。 この人の書き出しとは思いたくはなかっただけに….

まず Rajamangala Stadium は大変立派な競技場だがここが6月14日の日本戦で満員になる事はないと思う事は容易だった。どこかの大富豪がチケットを無料でばらまかない限りは……
昨年 Asian Cup の オマーン対タイ戦をここで観戦したが観客席は半分程度の入りだった。確かに最も高いS席の入場料金 THB700 ( 当時のレートで Yen2,450 ) は現地の人には安くないが、折角の地元開催にもっと入っても…..と思わずにいられなかった。同様の事はジャカルタとクアラルンプールでも思った。ただ私が行かなかったハノイでは地元チームの登場した試合は満員の観衆で埋まったらしい。だからベトナムがベスト8に進出出来たのか…..
それから最も危惧された天候も。タイを含めた東南アジア地区の最も厳しい気候は3月下旬から4月にかけてだ。6月になると雨期にはいり温度、湿度はかなり下がって来る。(と言っても日本よりは暑いけど…) しかし40度のマスカットよりもましだと思う。それと決定的な誤解は地元の人々の関心だ。 確かにサッカーはタイでも超人気スポーツのひとつ。しかしそれは Premiership の事でここではテレビの地上波でもそれが楽しめる。僅かばかりの(日本人からみれば)金を出してケーブルまたは衛星テレビを見られるようにすればもうどれだけ欧州のサッカーを楽しめる事か…….
驚いたのは5月に商用で訪れた時。空港に向うタクシーの中で運転手が聴いていたのは Premiership の Manchester United の 試合中継だった。そしてそれはタイ語で中継されていた。(たぶんタイのスタジオでモニターを見ながらだろうけど。)取引先の人達からもよく Premiership の話題を向けられる。今年の UEFA Champions League では Premier 勢が調子が良かったのでそちらの話題も。 ただし全てが純粋なサッカーの話題ではない。この国ではサッカーは賭けの対象であり多くの“サッカーファン”は賭けの為に興味を持ってチームの動向を調べるのだ。もちろん純粋なサッカーファンもいるだろうが。上記の事から普段あまり“行われない”ワールドカップ予選の試合”に多くの人が “関心” を抱く事は考えにくい。バンコックの街を歩いていても欧州のクラブチームのレプリカを着る人は多く目に着くがタイ代表のレプリカを着る人は皆無に等しい。ある時私が青色のタイ代表のユニフォームを着て歩いていると何人かの地元の人に声をかけられた。そして恐らく殆どの人はそれがタイ代表のものと気がつかれないだろうとも言われた。

こんな事は試合が始まる前に書くべきなのだが何しろ忙しかったので………..

オマーンとのアウェー戦で勝点1を得てバンコック入りした日本代表。この試合に勝てば最終予選進出に大きく前進する。タイはホームゲームで2連敗中。しかし試合内容は圧倒されていたわけではなかった。 試合前 Chanvit タイ代表監督は “さいたまでの試合とは違う本物のタイ代表をお見せする” と述べていたらしいが、この日のメンバーはDatsakorn Thonglao と右サイドバックで Manchester City と契約した Suree Sukha はスタメンに名を連ねたが,  DF Prat Samakratそして Manchester City と契約したKiatprawut Saiwaew そして Teerasil Dangda はこの試合でもメンバー入りしていなかった。2月の日本戦でゴールを決めた Winothai Teeratep は前節のバーレーン戦でレッドカードを貰い出場停止。2月の日本戦でスタメンだったのはGK Hathairattanakool Kosin と FW Chaikamdee そしてDF Phanrit Nataporn の3人だけ。FW Dangda Teerasil はベンチ入りしていたが出場機会は無く、MF P.Choeichiu は途中出場の選手だった。しかし前節のバーレーン戦と比べるとスタメンから替わったのは出場停止の FW Teeratep に替わって DangdaTeerasil が起用され、左サイドバックの Samana Natthaphong に替わってSaiwaeo Kiatprawut が起用された。この日のメンバーが今のタイ代表ベストメンバーなのかもしれない。
一方の日本は退場で出場出来ない大久保に替って若い香川が抜擢され中盤に入り玉田の1トップとの布陣。試合前のスカウティングは岡田監督の方が苦労多かったのではないかな……
しかし開始早々長谷部がシュートを放つなど立ち上がりから日本は積極的にプレスを掛けて主導権を握るとこの勢いに押されタイ選手は後手を踏む。2分には松井がドリブル突破FKを得る。3分にもPA外左の位置でFKをもらい中村俊輔がクロスを入れるがGKがパンチで弾き出す。17分にはまたも左でFKを得て中村俊輔が中に送るとファーサイドに走り込んだ闘莉王が Nataporn Phanrit に競り勝ち頭で合わせまたもファーポストを狙いそこに玉田が走り込むが Pitchitpong Choechiu がクリアー。そのCKを今度は中澤がダイビングヘッドを放つがゴール上に外れる。セットプレーのチャンスに闘莉王、中澤が積極的に絡んでくる。そして23分遠藤のショートCKを中村俊輔が受けて再びの戻し遠藤が中に入れるとファーサードに走り込んだ闘莉王のヘッドが対ゴールに突き刺さり先制点が生まれた。マークに入っていた Nataprn Phanrit の頭を完全に越えた打点のヘッドでった。 こうなると完全に日本が試合の主導権を握る様になる。25分には遠藤のFKがクロスバーを叩く。そして36分遠藤のCKから中澤がヘッドで決め追加点。この中澤の動きはマークに入ろうとした Kiatprawut Saiwaeo のマークを巧みにかわしTeerasi Dangda の前に入り込んで撃ったもの。これでタイがこの試合に勝つ事はほぼ考えられ無くなった。後は日本が何点差で勝つかという事に関心が移ったであろうが前半の得点を含んだチャンスは全てセットプレーから。
  
  


後半は流れのなかかからの得点が…と思っていたが開始早々からタイが生き返った様にボールをつなぎだす。53秒にはDatsakorn THONGLAO のロングフィードが Teerasai Dangda に送られる。 Teerasai は上記した通り Manchester City と契約した選手で現在はスイスの Grasshopper Zurich にローン移籍している。昨年の Asian Cup には最終メンバーに選ばれたが開幕戦のイラク戦に交替出場で5分程出場したのみだった。Thonglao はかつてブンデスリーがのカイザースラウテルンに練習生として所属しAsian Cup 3試合に出場した。48分には FW Chaikamdee に替って Tana Chanbut が投入された。 Chaikamdee は 2003年のSEA Games ではエースストライカーで決勝戦のベトナム戦では優勝を決める V ゴールを決めた選手。しかし昨年の Asian Cup は最終メンバーに残れ無かった。このワールドカップ予選ではバーレーン戦でゴールを決めるなどしたがこの試合では得点できなかった。 替わって投入された Chanabut はこれからタイの中心となり得る選手で 2006年のムルデカ大会ではマレーシア戦でゴールを挙げたり今年5月17日に Manchester City が来泰した際に Thailand Premier League 選抜として出場しゴールを決め 3-1 の勝利に貢献した選手だ。このワールドカップ予選では初戦の日本戦ではベンチ入りし出場機会は無かったが以降は途中出場を果たしている。

 


この Chanabut のボールキープからタイはしばしば日本ゴール付近まで迫る。後半のタイはベテランMFの Tawan Sripan が上がって来てFWの Chanabut, Teerasil Dangda と前線の3人をターゲットにタイの特徴であるショートパスが繋がり出した。このショートパスにバーレーンDF陣は翻弄されたのでさいたいまスタジアムでの試合では参考にしてくれれば良いのだか…….. そして日本選手にボールが渡ると次々にマークに入り前半の様に自由にボールが持てなくなって来た。それでもタイが得点を挙げられなかったのは最後の1対1での詰めでここには日本のフィジカルとテクニックが上回った。ロスタイムに入りようやく中村憲剛がセットプレーでない得点を決めたがもしその前にタイにゴールが生まれていれば最悪は引き分けていたかもしれない。

日本はこれで最終予選進出を決めたが、最終戦の相手バーレーンはどういうメンバーで来るのだろう?既に3次予選突破を決めているチーム同士の戦い。マチャラ監督は恐らく主力を置いて来るのではないだろうか?そうすれば無駄なイエローカードを貰わずに済む。そして日本が主力を出してくれば“挑発行為”を“控え選手”に繰り返させ最終予選の“出場試合”を減らせる事が出来る……… 学校体育に慣れ親しんでいる日本人ではわからない感覚だろう。だから日本もこの際“控え組”に経験を積ませた方が良いのではないか…..中村俊輔の大事な足も保護せねばならないし。

Chanvit 監督は次のオマーン戦が最後の指揮となるらしいがバンコックは私の好きな街。“サッカー人気”は高いのでもう少し代表が強くなれば人々の関心も“地元チーム”に向くだろう。

サワディカ~ップ コンタイ そして Chanvit 監督。

あぁでもさいたまスタジアムのチケットが消化試合になってしもた…………



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