Mr.コンティのRising JAPAN

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Old Firm 伝統の一戦で

2006-11-19 | EURO Football
中村俊輔の Celtic 入りで日本でもすっかり有名となった Old Firm Derby。サッカーでは同じ市にフランチャイズを置くチーム同士の戦いを Derby Match と呼ばれることを知らない人は少ないだろう。アメリカメジャーリーグではシリーズと呼ぶ。 Yankees と Mets の試合は Subway Series と呼ばれるがこれは両方の球場が地下鉄で行き来できるかららしい。 日本では伝統の阪神巨人戦があるがこれはむしろ東京対大阪の代理戦争の意味合いがある。大阪で育った小学生の頃周りが阪神ファンばかりで巨人が阪神に破れた次の日はどれだけ学校に行きづらかったか?しかし関東の人に言わせれば“関西弁でジャイアンツを応援する”私には違和感を感じざるを得ないらしい。 
今シーズン最初のScotland Premier League の Old Firm は9月24日に Celtic Park で行われた。この2チームの対決は単なるサッカーのみならずCeltic はカソリック、 Rangers はプロテスタントとこの地域に根付いている“宗教代理戦争”も担わされている。従ってこれらのチームでプレーする事自体、プロテスタントかカソリックかの踏み絵の様な時代が最近まで続いた。Rangers は 1976年 FIFA とマスコミのプレッシャーによって遂にカソリック系の選手にも門戸を広げることを公式に発表したが結局1989年のシーズンまで状況は変らなかったらしい。この試合までの両者の直接対決では Rangers 147勝 Celtic 133勝 引分91。しかし両チームの力は突出しすぎておりこれまで91のリーグタイトルと63のカップ戦タイトルが両チームで独占され続けていた。この10年間でもリーグタイトルを5回ずつ分け合った。19世紀の産業革命ではグラスゴーを中心に工業化が進み大英帝国発展の原動力を提供した背景もあり、スコットランドの中では経済的な勢力も突出しており、両者のタイトル独占も理解に時間を要しない。しかし昨シーズンはリトアニアの大富豪Vladimir Romanovの投資によりRnagers から勝利を挙げ、Celtic とは引き分けるなど2位に食い込んだ。これはここ10年見られなかった快挙だった。しかし今季は11月18日現在5位に甘んじている。

監督としては Old Firm では“先輩”にあたる Celtic の ストラカン監督は就任前の Rangers のポール・ル・グエン監督と“既に” 会っていたとの事。時はワールドカップの真っ最中の6月で場所も Berlin Olympicstadion のクロアチア対ブラジル戦。でもストラカン監督はその前の日本対オーストラリアを見てくれなかったのかな?ストラカン監督は“両者には勝者か敗者かしか存在しない。”としながらも” Old Firm の様相はここ20数年で変ってきた。かつてのような必要以上の熱気、殺気はなくなりつつある”。ともコメント自らはマンチェスターユナイテッド、リーズ、コベントリーでプレーするもスコットランド時代は Sir Alex Ferguson の指揮する Aberdeen で活躍し、その前には Dundee FC でプレー。体格に恵まれないながらも運動量とパスセンスで Scotland 代表にも選ばれ当然ワールドカップにも出場している。だが彼の実力の証明はスコットランドサッカー協会殿堂入りと並んで引退後“右目が殆ど見えなかった”と言う事実がわかったと言うことに勝るものは無い。

昨シーズンの Old Firm デビューでRangers に破れて洗礼を浴びたストラカン監督だが、今年は Old Firm デビューとなるル・グエン監督の周囲が騒がしい。 Rangers Supporter 達はFWに Dado Prso, Kris Boyd または Fillip Sebo の誰を選ぶかで話題を呼んでいる。 Prso は Croatia のFWでワールドカップの日本戦で何度もゴールに迫ったので憶えている人も多いだろう。Kris Boyd は昨シーズンのリーグ得点王(じゃなかったかな?) Fillip Sebo はシーズン開始1ヶ月前にAustria Wien から£180万(約3億7千万円)で移籍してきたが前節の Hiberinian 戦でようやく出場を果たしゴールを決めた。 Old Firm 前までRangers は何と3勝3分け1敗と波に乗れない。それだけに Old Firm で結果を出して以降のリーグ戦に繋げたいところだ。 
“Old Firm は経験無いが、選手時代( France Saint-Etienne ) にはLyon と対戦し Local derby の経験はある。またLyonでのコーチ時代もそうだった。Paris Saint German でのコーチ時代も Olimpique Maeseille と対戦している。同じ街の Derby とは異なるがこの両チームの戦いはフランスでは特別なものだ。そしてPSGのコーチ時代の 1995年に Celtic Park で Cup Winner’s Cup の試合を行った経験がある。試合は PSGが 3-0 で勝ったが Celtic Supporter が醸し出す偉大な雰囲気を憶えている”と記者に答えると “それでは同じスコアーで?”と訊かれ“ 1-0 で充分”と応えている。
Croatia のPrso はCeltic Park で勝利を収めた貴重な Rangers の生き残りだ。2005年2月のこの勝利は過去15回 Rangers が Celtic Park で戦った中で唯一の勝ち星だ。 “2004年8月の最初の Old Firm では終了間際に Alan Thompson のゴールで破れたがその時の心境、次のOld Firmに賭ける意気込みを今の選手達に語った” とPrso は述べた。ワールドカップでの中村の印象は語らなかったのかな?“Old Firm で勝っても、負けても何もきまらない。しかし、こういう Big Game は大変な経験になる。選手はみな Big Game でプレーをしたいもの。”

しかし、この Old Firm で起用された Prso も Boyd もゴールを挙げられなかった。ご存知のとおり結果は 2-0 で我等が中村俊輔のいる Celtic が快勝。 Rangers はこれで2連敗だ。日本では中村ばかりがクローズアップされた Old Firm だが、この試合のヒーローは後半、チームの2点目を決めたケニー・ミラー。今シーズン、 Wolverhampton から移籍してきて、プレシーズンマッチを含めて16試合目でこの貴重なゴールを決めた。彼のゴールはポーランド人FW Maciej Zurawski を外してまで起用を決めたストラカン監督を安心させるもので“Kennyのプレーはストライカーが得点できないときにどうするべきかを示すもの”と手放しの喜び様。 また Real Madrid から移籍してきたスウェーデン人FWグラッベッセンの先制ゴールを Déjà vu とル・グエン監督は頭を抱える。これは今シーズン Phil O’Donnell ( マザーウェル ) Christian Kalvennes ( ダンディーユナイテッド) Franz Wright ( キルマーノック)そして Chris Killen ( ハイバーニアン)と同じ range から決められていると表現。そしてシステムを試合開始時は 4-1-3-2 だったのを後半 3-5-2 に替えてから主導権を握ったので“最初からのこのシステムでいっていれば”と後悔気味のコメントを残す。 事実ストラカン監督も後半は劣勢に立たされたがDF陣がよく頑張ったと。 しかしストラカン監督の気になるのはこの試合を負傷で出場できなかったヘネフォール・オフ・ヘッセンリンクの復調具合だ。 Old Firm の後は Champions League の Kobenhaven 戦が控えている。
そして NAKAMURA の文字はこの試合に関してはあまり観られなかった。 続く….

Celtic (4-4-2): A Boruc 7 — P Telfer 7, G Caldwell 8, S McManus 8, L Naylor 6 — S Nakamura 6 (sub: E Sno, 71min 4), N Lennon 8, T Gravesen 7 (sub: S Pearson, 84), A McGeady 9 — J Vennegoor of Hesselink 6, K Miller 8 (sub: M Zurawski, 78). Substitutes not used: D Marshall, S Maloney, B Balde, D O’Dea. Booked: Vennegoor of Hesselink.
Rangers (4-1-3-2): A McGregor 8 — A Hutton 5 (sub: L Sionko, 61 5), J Rodriguez 5 (sub: G Rae, 80), S Papac 6, S Smith 5 — B Hemdani 8 — C Burke 7 (sub: L Martin, 64 3), B Ferguson 6, C Adam 6 — K Boyd 6, D Prso 7. Substitutes not used: L Robinson, K Svensson, F Sebo, T Buffel. Booked: Martin, Hutton. Gravesen 35, Miller 74
Referee: D McDonald 9. Attendance: 59,341


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