Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

Auf Widersehen Jarolim HSV Hamburg 0-0 1FSV Mainz 05 28th April 2012

2012-04-30 | EURO Football
88分ピッチサイドに選手交替を告げる掲示が出された。14 と言う数字が出ているスタジアムの大観衆が立ちあがり拍手を送る。背番号14番チェコ人 MF David Jarolim が大歓声に応えながらピッチを離れる。Die Bundesliga 出場318試合目。うち HSV 在籍中では257試合目。来月17日に33歳になる大ベテランはかつて高原がこのチームに在籍した時からレギュラーだった。
この試合がHSV のホームゲームでの最後の試合であった。 見ていたこちらも胸が熱くなった。 
“彼の事はよく知っている。タカハラがここにいた時からプレーしていた。恐らく彼を憶えている日本人も多いと思う。”
隣に座っていた親子連れに声をかけた。 あぁそうか日本から来たのか...てな事を言われた。恐らく背番号15番孫興民を観に来た韓国人と思ったのかな...高原が去っても HSV に興味を持つ日本人と周囲の人達が少し尊敬の眼差し( と思う )を向けてくれた。



試合はその後2度ほどアウェーの Mainz が HSV ゴールに迫ったがゴールには至らずスコアレスドローで終わり HSV の1部残留が決まった。と言うよりも試合中に何度も16位の 1FC Köln が何度も失点を重ねたのを報じられ最終的には 1-4 で敗れた為15位以上が確定したのだった。

日本を出発し欧州滞在10日目。私は Düsseldorf から北に進み Hamburg に向かった。 今年4月のドイツは天気が悪く大変な寒さ。 ベルギーに移って更に寒さは増し、前年の同じ頃欧州訪問時は半袖で過ごした事を考えればこの寒暖の差は一体何が原因なのだろう...地球温暖化と言う迷信を何故多くの人が信じるのだろう...とそちらの方向に怒りをぶつけたくなった。
そして滞在10日目にしてようやく寒い思いから解放された.....
しかしDüsseldorf から Hamburg に向かう際に利用した Inter City Express こと ICE は遅れて Hamburg に着いたのは予定時刻を1時間も過ぎていた。

中央駅に着くや否や懇意にして貰っている現地で長期に渡り寿司テイクアウェイ店舗を経営されている日本人のGさんのお店に転がり込んだ。 昼食時間は過ぎているのに相変わらずの繁盛ぶり。 

“いつも、いつもすみません....“

と云いながら期待して来ている厚かましい私に早速きつねうどんとお寿司を振舞ってくれた。
日本ではなかなかうどんと寿司の組み合わせが無いが欧州では人気らしい。 おいしい“昼食”でエネルギーを再注入しGさんに御礼を申し上げ次の仕事先に向かった.....

仕事を終えてGさんのお店の閉店時間まで少し時間があったのである“レストラン”に入った。
店の前には黒板に „ LIVE HSV vs Mainz „ と書かれていた。この日は Die Bundesliga 1部リーグ第33節の9試合が一斉に午後3時半キックオフで開催された日だった。前節で香川真司の在籍する BVB Dortmund が優勝を決めたので次の興味は残留争いと UEFA Champions League 並びに European League の出場権争い。 熾烈なのは今シーズンも残留争い。私も愛する京都が何度もこの争いに“参戦”していたのでサポーター達の心境は痛いほど理解できる。
既に最下位 1 FC Kaiserslauterun は降格が決まっており, 17位 Hertha Berline SCは降格か良くて16位に上がり2部リーグ3位チームとの入れ替え戦に残留の可能性を掛けると言うのが現状。
前節では12位 Mainz, 13位 SC Freiburg, 14位 Hamburg, 15位 Augsburg そして16位 Kölnの6チームが引分けたので13位の Freiburg までが残留を決め、第33節前迄の残留を確実にする“15位以上争い”の該当チームの星勘定は下記の通りであった。

14位 HSV Hamburg 勝点35 得失点差 -21
15位 FC Augsburg 勝点34 得失点差 -14
16位 1.FC Köln 勝点30 得失点差 -30

Hamburg も 細貝のいる Augsburg もシーズン残り試合が2試合しかない事を考えれば16位のKölnが残り試合で連勝さえしなければ残留はほぼ決定的だが1日でも早く残留を自らの手で決めたいという気持ちは何度も云うが痛いほど解る....

店に入るとハーフタイム中ですぐにあの „ HSV Forever „ が場内に鳴り響きだし後半が始まろうとしていた。
店内はビール片手の大人達だけでなく子供も数人。勿論親同伴だけど。私はコーラとフレンチポテトを注文した。フレンチポテトをドイツ語でどう言おうかと迷っていたらそれらしきものが隣のテーブルの上にあったので“あれと同じものを1つ。”と注文した。

そして HSV のキックオフで後半が始まった。
HSVは前節 1-1 で引分けた1. FC Nürnberg 戦で23分にチェコ人正GK Jaroslav Drobny が相手選手と交錯して負傷し試合途中でベンチに下がりこの試合もベンチから外れ替って投入された GK Sven Neuhausがスタメン起用された。 
また前節は韓国人FW孫興民とスウェーデン人FW Marcus Berg の2トップだったがこの日はペルー人FW Paolo Guerrero とベテランクロアチア人FW Mladen Petric の2トップ。 Petric は前節では84分に孫興民と替って途中出場で起用されたが今シーズンで HSV のユニフォームを脱ぐ Petric のホーム最終戦でのスタメン起用にはシーズン途中、スイスの FC Basel からやって来た Thorsten Fink 監督の温情があったのか.... Jarolim のスタメン起用も前節彼と交替で出場したセルビア人ボランチ Gojko Kacar の試合中の負傷が無くても実現したかもしれない。 

一方前節 Vfl Wolfsburg と 0-0 で引分け残留を決めた Mainz は右SBだったチェコ人DF Zdenek Pospech を左サイドに置き31歳ベテランスロヴァキア人DFの Radoslav Zabavnik に替って Niko Bungert を右SBで起用された。そして1ボランチと言うよりもアンカーの位置に置かれたのが Eugen Polanski だった。前節では Polanski と コロンビア人 MF Elkin Soto の2ボランチだった。 
49分 HSV左SB Dennis Aogo がサイドを突破しクロスを上げるが中には誰もいなかった。
Mainz はエジプト人MF Mohamed Zidan にボールが入った時に彼のキープ力やパスからチャンスが創れていいたが既に残留を決めてていたせいか全体的にラインは引き気味。その為か HSV は人数を割いて相手PA付近まで攻め上がってこれるがそこから足元へのパスばかりでしかもその後もボールタッチが多いのですぐに Mainz DF 陣にマークされてしまう。もっとワンタッチパスを使って相手を撹乱しないと決定機は創れないと思う。
54分には2列目左の MF Marcell Jansen がドルブルシュートを放つが孫興民と Jansen のドリブル突破を結構頼りにされていた。55分 Mainz はボランチの Polanski を下げてオーストリア人MF Julian Baumgartlinger が投入される。 Baumgartlinger は前節も83分に Polanski に替って投入された。
Mainz は前節では Adman Szalai の1トップで2列目に3人のMFを並べたらしいがこの試合はカメルーン系ドイツ人FW Eric Maxim Chopou-Moting と ハンガリー人FW Szalai が2トップ。 中盤はトップ下に Zidan が入り、中盤左にSoto 、左には前節は Zabavnikに替って途中起用された Marco Caligiuri。上述した通り Polanski が4バックの前に入りダイヤモンド型の中盤を形成していた。 

60分と61分に HSV は連続してチャンスを迎える。孫興民が素晴らしい中央からのドリブル突破を見せ左サイドの Jansenにボールを送り Jansen はファーサイドにクロスを上げる。しかしフリーで飛び込んだ Guerrero と Petric らは僅かに届かない。
続いて中盤からの浮球のパスを抜け出した Petric がフリーでシュートを放つが GK Christian Wetklo の正面に。 Petric 絶好の惜別のゴールチャンスだったんだけど.... Petric は69分にも FW Guerrero が倒されて絶好の位置で得たFKを直接狙ったが壁に当ててしまった。 その度に周囲の人達は頭を抱えてしまう。だけど残留争いのなかこの状況では先制を許さないだけましか... 
そして73分大歓声を浴びてイタリア人FW Jacobo Sala と替ってベンチに下がった。 最終節アウェーの Augsburg 戦で出場機会はあるだろうか、そしてゴールチャンスは....だけど Augsburg は好調の細貝がいるぞ...( 関係無いか?) 



これで HSV はGuerrero と Sala の2トップとなり2列目左に Jansen はそのままで真ん中に孫興民そして右に Jarlom が上がり Tomas Rincon の1ボランチとなったがこれはその前に Mainz ベンチが行ったシステム変更に対応する為と思った。 

63分 Mainz ベンチは何故か攻撃の起点になっていた Zidan を下げて Yunus Malli を投入し、55分に投入された Baumgartlinger の1ボランチとなりその前に左から Soto, Malli, Caligiuri の3人が中盤に並び 4-1-3-2 の布陣となっていた。
これは守備を固める戦術かと思ったが中盤に厚みが出てしかもBaumgartlinger が攻撃時にはけっこう上がって来るので HSV PA付近でもボールが繋がる様になる。 65分には Malli が強烈なシュートを放つが HSV DF Denis Aogo に当たりCKに。72分には右サイドを崩し Caligiuri がフリーでシュートを放つがゴール枠を外してしまう。 
77分には Baumgartlinger からボールを受けた Malli が今度はシュートを撃たず左サイドの Soto にパスを出してしまった。 Malli は完全にフリーだったのに何故撃たなかったのだろう... と思った。 そして Mainz ベンチはその直後に Soto を下げて Nicholai Müllar を投入した。 これでまた Müllar と Baumgartlinger の2ボランチとなった。 そして HSV は孫をトップに挙げ再び Guerrero との2トップに戻し、Jarolim もボランチの位置に戻した。

その直後 HSV が連続して左サイドを突破しチャンスを創る。78分29秒には Aogo が上がり入れたクロスに Rincon がシュートを放つが惜しくもポストの左に外れて行く。 79分7秒、今度は Jansen が Müllar と競りながらシュートに持ち込むが弾道はクロスバーを大きく越えてしまった。
83分 HSV ベンチは Guerrero を下げて Robert Tesche を投入し孫興民との2トップに戻す。その少し前には Guerro の1トップにし2列目を左から Jansen – 孫興民 – Sala にしていた。 その直後いくらシステムを変更してもゴールが遠い HSV サポーター達から大歓声が沸き上がる。 SC Freiburg とのアウェー戦に臨んでいた 1FC Köln が 1-3 でリードされている事が場内アナウンスされた。 残り試合は5分足らず。この時点でKölnが勝点3を挙げる事はほぼ考えられなくなり、試合終了後両チームの勝点は3以上のままである事が確実視されたのだ。 細貝のいる Augsburg ( と言ってもこの試合は出場しなかったけど ) も上位を行くMönchengladbach とは 0-0 のこう着状態が続いていたがこちらも何とか残留を決められた瞬間でもあった。



その数分後、更なる大歓声と拍手が沸き上がり Jarolim がピッチを後にしそしてタイムアップ。 



一時は降格の危機に晒されていた HSV Hamburg は何とか残留を決めた。 まだ1度も降格をした事が無い名門チームとは言えここ数年はちょっと優勝争いから御無沙汰気味だ。 胸のチームマークの上に星印があるがそれは 1982-83 シーズンに勝ち取った Europe Champions Cup のタイトル。あの時はその後 TOYOTA CUP で来日したなぁ~..... あの時は Maghat が現役選手だった。かつて England の英雄 Kevin Kegan も HSV でプレーした。 そんな話を周囲の人達と少しして荷物を預かって頂いた G さんのお店に急いだ....



その夜は G さん宅で有難い日本そばとトンカツの夕食を御馳走して頂き色々な話をさせて貰った。
上海 - ハンブルグ間の直行便が就航する等ここハンブルグでも中国人移住者は増加の一途らしい。最近欧州ではアジアと言えば政治、経済の点ではもう日本では無く中国と思われて久しいがここ1年さらにその傾向は高くなっている。
現地で購入した28日付けの日本経済新聞で国連決議により日本の主張する大陸棚の“日本領域”が認められたと報道されたが(何故か朝日新聞には載っていないんだなぁ )中国がここハンブルグでも影響力を増す中、当地の日本領事館の年内閉鎖が決まったらしい。 Gさんから領事館絡みの色々な面白い話を聞かせて貰うのも楽しみだったのだけど当地に在留される邦人の方にとってはもっと深刻な問題に違いない。 
確かにここ10年で和食、特に寿司の人気はかなり上昇しその相乗効果で寿司ネタや日本食材の流通が飛躍的に良くなったらしい。昨年の震災前は日本産秋田小町が入手できるようになりそれが在留邦人の方達をはじめ和食ビジネスをされている方にとって非常に良い効果を齎していたらしいが....東電はここでも責任とってやれよ !!電気料金を上げるのであれば....
石原東京都知事の尖閣諸島購入発言はここハンブルグでも拍手で迎えられている。こう言う事もマスコミは報道してくれよ。

ならば解った。 ロンドン五輪後日本の若いタレントたちが一斉に欧州市場を圧巻すると思われるがここHSVでも高原以来の日本人選手が入団する事を願う。 そして欧州にサッカー観戦に訪れた日本人達は例え日本人選手がいなくても HSV の試合をここ素晴らしい Arena で観戦すべきだ。 Die Bunbdesliga で多くの日本人選手が話題になる、これだけは現在の中国がどう頑張っても出来ない事だし今後も難しい事だ。

なんて事を考えながら私は翌日 ICE で Suiss のGeneve に向かった。 車中 G さんに作って頂いたトンカツ弁当を頂きながら。トンカツ弁当を食べながら欧州を国際列車で移動しながら地元の新聞で日本人選手のプレーぶりを読むなんて俺は何て幸せなんだろう...  子供の時国際列車に乗る事が夢だったんだよなぁ~ 

それとも俺はただ厚かましいだけか???    Gさん本当にいつも御馳走様です。ありがとうございます。 




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