Mr.コンティのRising JAPAN

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長谷部フル出場 その評価は… HSV Hamburg 1-1 Vfl Wolfsburg

2011-10-24 | EURO Football
このスタジアムにはもう何度脚を運んだ事だろう…
欧州クラブの“地元”サポーター達は日本人選手が在籍している時は大挙して押し寄せいなくなると潮が引く様に来なくなる“日本人観光客”の事をどう思っているのだろう….
10年以上前に初めて来た時はイランのマハダビキアがいた。そして高原が入団し、彼が Frankfurt に去ってからも。ここには何度も来た。2006年のワールドカップの時には2度もここで観戦した。そしてそれからも…..
2004年シーズン開幕前に商用で訪れた時。この時はまだ高原が在籍していた。 Fan Shop に寄ってお土産を物色していた時全ての店員さんが私に。“ Takahara Olimpisch !! “ と非常に嬉しそうな表情で私に声を掛けて来た事。それは”我々の選手がオリンピックに出るんだ。“という喜びを感じているんだとすぐに解った。
この人達の事を思い出し、その後高原が会った事もない医師が五輪派遣には健康の保証が出来ない、と不可解な決定を降した事が残念でならなかった。
アテネオリンピック開幕時にそのシーズンの Budesliga が開幕した。高原は途中出場を果たした。それは当時の監督がこの決定に対し抗議をしているかのように思えた。私は少し溜飲の下がる思いがしたけど HSV のサポーター達はもっと胸がすかっとしたのではないか……
今、HSVはここしばらく見られなかった程に喘いでいる。 今シーズン9試合を消化して2勝1分6敗で最下位に甘んじている。まだリーグ戦4分の1強を消化しただけであるがこれまで二部リーグに陥落した事のないチームの低迷ぶりにドイツ入りした約10日前からほぼ連日チーム周辺の報道新聞紙上等に見られた。
そしてついに10月18日、Thorsten Finke 新監督を迎える事となった。しかし Finke 氏はスイスの強豪チーム FC Basel 1893 の“現役監督”であり今は UEFA Champions League に参戦中でもあった。
その Champions League の Benfica Lisbon 戦の日に HSV への“移籍”が発表された。 
“現役監督”に声をかけるクラブ幹部もそうだけどそれを快諾する Finke 氏の胸中もちょっと….と思ってしまう。
それが売った買ったのプロの世界と言い切ってしまえばそうなのかもしれないけど…
確かに今 Basel は11試合を消化して勝点19。首位 Luzern とは5勝点差の5位と“低迷”してはいるが…
キックオフ前なのにずいぶんTVカメラとマイクが集中していると思ったらそれは Finke 新監督へのインタビューだった。







スタジアムに向かう電車内は勿論 HSV サポーター達で埋め尽くされていた。それでも私の周囲には緑色のマフラーを巻いた Wolfsburg サポーターが数人。しかし HSV サポ達とは非常に平和的に会話がはずんでいる。
高原がいた時は HSV サポーター達から“タカハラ ! タカハラ!”と声を掛けられたが今は誰も声を掛けない。(当たり前か…)
女性のWolfsburg サポの1人と目があったので
“貴女は Wolfsburg から来たのですか?”と訊ねると
“Wolfsburg 出身だけど今は Hamburg 郊外に住んでいる。”と答えたので
“私は日本から来た。そして今日は Wolfsburg と Hasebe を見に来た。”と言うと周囲の Wolfsburg サポ達が一斉に私に親指を立てながら長谷部を称え始めた。
電車は停車駅ごとの混雑が増しある HSVサポが“ Wolfsburg は aussteigen ( 下車 ) してくれ。”と言うと話していた女性が “ Ausstigen ( 降格 ) はそちらのほうよ。“と返し車内に笑いが。
すると他の HSV サポが“こちらはまだ2部でやった事は無いぞ。”といったので彼女は“我々は2009年の シーズンのチャンピオンよ。”と返す。
彼女の耳元で“ 2008-09年は長谷部がプレーする Wolfsburg が優勝した。昨シーズン優勝した Dortmund は カガワがいた。日本人のいるチームは優勝する可能性がある。 HSV は今いない。”というと非常に受けて周囲の Wolfsburg サポ達に教えてだした。
彼女は前に週に私が Basel にいて Champions League を観戦したけど Basel の人達はみながっかりしていたよ、とか 38年前Alex Magath が現役時代 HSV のメンバーの一員として来日し TOYOTA CUP を戦った事等を話した。 もっとドイツ語がわかればもっと多くの人達ともっといろんな話が出来るのになぁ…いつもそう後悔する….
HSVのスタメンは前節 Freiurg 戦で2トップであった韓国代表の⑮孫興民と38.Zhi Gin Lam を2人ともベンチスタートとしペルーの⑨ Paolo Guerrero とクロアチアの ⑩Mladen Petric を2トップに置いた。Freiburg 戦は孫興民の先制ゴール等で 2-1 で今シーズン2勝目を収めていたので孫興民が見られると少し楽しみだったのだけど….







その他はベネズエラの Tomas Rincon をスタメンに起用しボランチに置いていた。 Rincon はこの試合の前ワールドカップ予選でベネズエラ代表としてアルゼンチンを降した歴史的ゲームのメンバーでもあった。
Wolfsburg は前節 2-1 と勝利を収めた Nurnberg 戦のスタメンから選手を4人替えて来た。後半から途中出場であった⑬長谷部が右サイドバックのポジションにスタメン起用され、⑤韓国代表の具滋哲がなんと ⑱Mario Mandzukic と組む2トップに起用されていた。長身の Mandzukic のやや後方という感じではあったが…
日韓両選手本来のポジションでの起用では無かったがそこは Magath 監督の考えがあっての事だろう。
選手紹介の後で Finke 監督が映し出されると大きな拍手が沸いた。








HSV のキックオフで始まった試合は65秒、前節では出番のなかった2列目右の② Patrick Ochus がサイドをドリブルで上がり入れたクロスに中央で待ち構える長身の Mandzukic ヘッドで合わせてあっさりと Wolfsburg が先制ゴールを挙げた。 Ochus にも Mandzukic にも全くマークがついておらず練習でも見られない様な綺麗なドリブルからクロスそしてヘッドだった。 








HSVというよりもここの雰囲気はホームチームの選手達に試合への入りを遅らせる何かを作っているのか?と錯覚させられる。こういう失点は私でさえ3度は観ている….
その後は目が醒めた如く HSV のシュートシーンが連続して演出される。4分にはトルコ人の右MF⑰ Gökhan Töre のFKにGuerro がヘッドで合わせるがゴール枠を外れ、9分40秒に後方からのパスに Töre が左SB④ Marcel Schäfer と競りながら放ったシュートはSchäferの脚に当たり惜しくも外れ、その後のCKから Guerro が再びヘッドで狙うが惜しくも外れる。
だけど以降 HSV はシュートに持ち込めなくなってしまう。パスをやり取りする選手だけで動いているのでコースが簡単に読まれてしまう。だから何度も容易にパスカットされてしまう。 長谷部の動きを見ると顕著に上がる Ochus の後方を上手く埋めて、相手が攻撃に転じると自分のサイドに入ってくるボールを持たない選手でもうまくマークしている様に見えた。またCBの⑮ Christian Träsh と連携して攻守の切り替えに対応している様だった。
そして時折見せるミドルパスも効果的に思えた。
20分を過ぎると再び HSV のシュートシーンが続く様になった。 23分にはCKのこぼれ球を拾ったTöreがミドルを放ち24分にはセルビア人ボランチの44.Gojko Kacar が撃ったミドルは GK ① Diego Benaglio が弾き出す。
左SB④ Heiko Westermann がサイドを上がって来て攻撃の良い起点になっていた。25分には Westermann が左サイドを上がり入れたクロスに合わせた Petric が放ったシュートはGK Benaglio の正面に。26分には Westermann が自ら放ったミドルは惜しくもポストの右に外れ、27分には Westermann のクロスに Kacar が⑯Kyrgiakos と競りながらヘッドで狙うが Kyrgiakos に当たりCKに。
HSVの連続攻撃にスタジアムが沸くがシュートが外れたり止められたりする度に大きな溜息が洩れた。
30分を過ぎるとTöreが Ochus の上がった後の右サイドに流れて来る様になる。更に Rincon 、左SB Dennis Aogo らがドリブルで上がってくる。41分には二列目左の⑦ Marcell Jansen がドリブルで上がってくると長谷部がマークに入る前に外から上がった Aogo に送る。 Aogoの入れたクロスに Guerrero がヘッドを放つがゴール枠を外れてしまったがこれまでで一番良い攻撃が演じられた。
先制後劣勢続きでシュートに持ち込めない Wolfsburg は何度もピンチを招いたがGK Benaglio がファインセーブを連発したりDF陣が必死のカバーを見せ HSV の決定力不足にも助けられ何とか前半は無失点で終える事が出来た。

後半に入り HSV ベンチはセルビア人 CB 23 Slobodan Rajkovic に替えて左 SB だった Westerman をCBに置きオランダ人 CB⑤ Jeffrey Bruma と組ませ右SBに Aogo を左から回して来た。そして前半は足元へのパスばかりであったが後半は選手がスペースに入る動きや相手DFを引き付けスペースを作る動きが顕著に見られ開始から圧倒的に試合を支配し始めた。
そして55分遂に同点ゴールが生まれる。波状攻撃を見せ最後は Kacar からボールを受けた Petric が中央から放ったシュートがゴール右隅に突き刺さった。
失点後から攻勢を続けるも今一決定力に欠けていたHSV攻撃陣が遂に同点ゴールを奪った。








大歓声が場内を包む。そしてその余韻が残る1分後 Jansen がドリブルシュートを見せGK Benaglio が弾いてCKに逃れるとそのCKから Kacar がヘッドを放つが惜しくも外れる。 59分にはスルーパスを受けた Guerrero がシュートを撃つがDFに当たってこの時点で8本目のCKに。 Wolfsburg はこの時点でまだ2本しかCKを得ていなかった。その直後に右サイドでFKを得た HSV はTöreが直接狙うがここもGK Benaglio がパンチで弾き出す。 観客は逆転ゴールが決まるのが今か今かと Wolfsburg ゴールに迫る度に乗り出しては外れる度に大きな溜息と拍手も送っていた。








守戦一方の Wolfsburg は63分に具滋哲が中央からドリブルで突破そして Mandzukic にボールを送り久々のシュートを導き出すが GK Jaroslav Drobny がファインセーブを見せ大歓声を引き出す。
しかしこのシュートを機に HSV の一方的な攻撃の手が緩み始めた。同点ゴールの前に 2列目左の 24 Dejagah に替って投入された前節 Nurunberg 戦ではスタメンだった⑪ Hasan Salihamidzic がフィットして来たのか中盤とDFがしっかりと2ラインを構成する様になり HSV のパスがこの“網”に掛かる様になって来た。そして Ochus が右から左に入っていたがこれは相手右SBに入った Aogo 対策だったかもしれない。
パスがカットされる度に場内のサポーター達からは大きな失望の溜息が洩れる。 HSV ベンチは79分に Kacar を下げて前の Freiburg 戦ではスタメンだった⑬ Robert Tesche を投入し84分には Jansen を下げて孫興民ではなく Zhi Gin Lam を投入する。これで少し楽しみにしていた孫興民のこの試合の登場は無くなった......








試合は終盤になるにつれ両者当たりが激しくなりイエローカードも出される。HSV の選手にカードが出されたり Wolfsburg の選手に出されなかったり、倒れても起き上らないとものすごい口笛とブーイングが沸き上がる。
82分に映し出されたボール支配率を見ると HSV が51%であったが地域占有率でみると HSV が60% も占有していた。これだけ攻勢に出ているのだから観客は逆転ゴールを見たかっただろう。
87分にはDFのクリアーボールをそのまま Aogo がシュートを撃つが GK Benaglio がまたもやナイスセーブ。88分にはTöreからPaolo にボールが入り HSV サポーターは一斉に立ち上がるが Kyrgiakos, Träsh が必死に身体を寄せてシュートを撃たせない。ロスタイムに入りWolfsburg ベンチは具滋哲を下げて DF 23. Marcos Russ を投入し逃げ切りを図る。 そして久々に攻撃に転じた Mandzukic が倒されてなかなか起き上れない、大ブーイングを浴びてもいや起き上らない?
競り合いでは身体的強さを見せつけていたのに...








そして結局2分あったロスタイムも過ぎ試合は終わった。
HSVは前節に続いて勝利を挙げられそうな試合内容だっただけにサポーター達は少し不満が残るか...それとも上昇気流の兆しと考えるか....
Wolfsburg の Maghat 監督としてはアウェーとはいえ低迷する相手から勝点3を奪い、4勝ち点差で5位の Werder Bremen に迫り Europena League そして Champions League 争いに割って入りたかっただろう...
キックオフ前に試合を終えた Dortmund は 1FC Köln を 5-0 で粉砕し香川がゴールを決めた。そして長谷部は先発フル出場であった。
翌日以降の地元紙での長谷部の評価は何故か今一だった。 WELT am SONNTAG , Die Bild 紙は4.Kicker 誌にいたっては 4.5 であった。 確かに後半はあまり目立っていなかったけどなぁ.....
具滋哲は Kicker が3.5 で他は3だった。そして Kicker 誌が選ぶ Spieler des Spliels は当然のごとく Wolfsburg の GK Benaglio だった。試合終了後孫興民と具滋哲が何やら立ち話をしていた。









肝心の Magath 監督の評価はどうだったのだろう。次節 Wolfsburg は Herta Berlin をホームに迎える。
その試合で先発起用される事を願いながらスタジアムを後にした。いや、その前に怪我をしないでくれよと願うべきだろう。







11月にはワールドカップ予選が2試合あるから....


今度はアウェーの連戦だ。平壌に観に行きたいなぁ.........



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