テルアビブに向かう日、もう春の到来とばかりに抜けるような青空そしてぽかぽか陽気。高速道路を飛ばしてエルサレムを離れる。途中で何度かイスラエル軍兵士の検問があるが運転するのはイスラエル人のお客さん。顔をみせるだけの文字通り顔パス。しかしここでも車を止められてトランクを調べられたり鏡で車の下を覗かれたりする人達も。こういう光景を見ると国情がわかる。 テルアビブの市街に着いての第一印象は“何だかアテネみたいだな。”8年前に一度アテネにいた事がある。アテネ五輪開催は決まっていたが本当に五輪をする街かいな?と言うのが第一印象。そこをもう少し開発途上にしたらルーマニアの首都ブカレストになるなぁと思った。イスラエルと言えば私は先進国の一つと思っていたが、それは正しくなかったらしい。前日のK子さんが教えてくれたが、イスラエルが本格的に発展したのは1990年代に入ってからで、それまではエルサレムを初め観光業で外貨を獲得していた国で日本では絶対に乗らないようなレベルの古い車が何台も走っていたそうだ。もっと街にも緊張があったらしい。ユダヤ人がイスラエル建国後も世界中に散らばって商売を続けているのもどうやら少し理由がわかってきた。人によれば“イスラエルが建国されてからユダヤ人らしさが薄くなった”と言う人もいるくらいだ。でもエルサレムと比較してテルアビブの方が経済的には発展しているのは直ぐに解った。“しまったなぁ、ここの日程を長く取ればよかったなぁ。”と少し後悔する。テルアビブは坂の多いエルサレムとは異なり街は平坦だ。そして遺跡が少ないせいか開発が早いらしい。“京都がエルサレム、東京がテルアビブと想像していただければ丁度いいです。”と教えてくれたのはテルアビブ在留7年の日本人女性N子さん。ご主人はイスラエル人との事。テルアビブで思い出すのが1977年にここで行われたワールドカップ予選。韓国、イスラエル、北朝鮮(イスラエルが同組だったので棄権した。)とアジア地区1次予選で同組になった日本はホーム&アウェーでありながら日本赤軍のテロ活動対策が保障できないと言う警備上の理由で東京開催を返上し“ホームゲームをテルアビブ”で行った。日本国内の予想でも圧倒的に不利。それでも朝日新聞には当時の二宮代表監督の“20人に聞けば20人、イスラエルに勝てるなんて言わない。でも負けるつもりなら初めからイスラエルに行かなければ良い。”とのコメントが載せられた。2月11日、13日に行われたアルゼンチンの強豪クラブインデペンディエンテとの親善試合では怪我で釜本を欠くも 2-3, 0-0 と善戦。初戦の敗戦も先行されながら奥寺、永井の攻撃陣が早い動きでゴールを上げ終了間際のオマール・ラローサのPKで敗れたもの。ラローサは翌年にワールドカップアルゼンチン大会のメンバーでもう1人ルベン・ガルバンと言う翌年のワールドカップメンバーもこのチームにいた。その後西ドイツに渡り調整合宿を経てのテルアビブ入りであったが3月6日、テルアビブでの第一戦、エース釜本が肉離れでスタメンから急遽外れた日本は永井、奥寺、碓井、西野を前線に置いた。しかし、この10日前に当地で行われた韓国戦でイスラエルは引き分けたのでこの日本戦には並々ならぬ意気で当たってきた。開始から日本は徹頭徹尾攻められ続け、この試合を報道したNHKのニュースセンター9時のスポーツ担当福島アナウンサーは“日本はGK1人でやっているみたいです。”と表現。そのGKが田口光久であった。結局前半終了直前にマヒネスが後半にもバールがFKから得点を挙げ 2-0 でイスラエルが勝利を収めた。4日後の3月10日は後半から釜本が登場したがどうする事も出来ずマヒネス、ペレツにゴールを許し2連敗で帰国する事になった。この2試合のダイジェストは3月26日に東京で行われた韓国戦(0-0 で引分け)のハーフタイムでも放映された。あの時テルアビブで日の丸を打ち振っていた人達は今どうしているのだろう? 1970年代までイスラエルはアジア地区に属しており1970年メキシコワールドカップ、1976年モントリオール五輪にはアジア代表で出場している。日本とはワールドカップ西ドイツ大会、アルゼンチン大会予選、そしてモントリオール五輪予選で同じ組となっており、都合6試合行っており0勝6敗得点2失点15と全く歯が立たなかった。そして1974年のアジア大会でも 0-3 で破れ対イスラエル戦7連敗中だ。後にGKとしてイスラエルと戦った田口光久氏は“イスラエルはアジアと言っても体格は完全な欧州人でそれでいて細かいパスをきちんと繋いでくるチームだった。”と述解する。70年代末になると中東諸国が台頭してきて政治上の理由からイスラエルをアジアから欧州に移さねばならなくなった。
以降五輪を含めた世界の舞台でイスラエルを見る事は無い。
今、日本代表がイスラエル代表と試合をすればどんな勝負をするのだろう?それが実現するのはワールドカップか五輪といった公式大会でしか不可能だろう。イスラエルに入国をすれば中東諸国には入れない。あとはオーストラリアや韓国の様にイギリスで“ホームゲーム”を行うか??
以降五輪を含めた世界の舞台でイスラエルを見る事は無い。
今、日本代表がイスラエル代表と試合をすればどんな勝負をするのだろう?それが実現するのはワールドカップか五輪といった公式大会でしか不可能だろう。イスラエルに入国をすれば中東諸国には入れない。あとはオーストラリアや韓国の様にイギリスで“ホームゲーム”を行うか??
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます