Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

移民国家オーストラリア ギリシア戦を前に

2006-05-25 | FIFA World Cup
本日Melbourne Cricket Garden にギリシア代表を迎えて行なわれる Socceroo の壮行試合、様々な人間模様がある様だ。 

1)オーストラリアに凱旋試合
Gerogios Samaras 21歳の Manchester City 所属のストライカー。ワールドカップ予選には召集されなかったが、2年後の欧州選手権連覇を狙うギリシア代表オットー=レーハーゲル監督から豪州遠征召集の声がかかった。ここ2試合に起用され2ゴールを上げておりその成果が認められての召集だ。 Samaras の祖父ギリシアからここオーストラリアの南メルボルンに移民し、当時のギリシア人コミュニティーのリーダー的存在だったらしい。そして Gerogious の父親 Giannis =Samaras 氏はメルボルンで生まれ12歳の時にギリシアに戻り Panathinaikos, OFI Crete 等で活躍するギリシア代表選手になった。代表出場数は25にものぼる。親子2代に渡る代表入りに父親の生まれたオーストラリアでの遠征で感慨も深いだろう。そして“オーストラリアでプレーする可能性もあった。どちらでプレーをするかを考えたときもあった。しかし、誰もコンタクトして来なかった。そしてギリシアを選んだ”とコメントをしているが、彼に声を掛けなかったオーストラリア協会は後悔しているのでは無いか? ギリシア代表がメルボルン入りした時は地元のギリシア人コミュニティーから大変な歓迎を受けて驚いた選手もいたらしい。私も商用でオーストラリアを訪れたときに何人かのギリシア系の移民に会ったことがある。 今日の試合はおそらくいつもの 5-4-1 のシステムで臨み、ワントップには EURO2004 の英雄ハリステアスが起用されると思われる。21歳のサマラスに登場の機会があるかは判らないが、彼がピッチに出れば少なからず MCG からは歓声があがるのでは無いか?? 移民国家オーストラリアならではの話題だ。尚両国は 1978年に対戦しているらしい。

2) New System のテスト??
この試合の焦点は初めて試みる4バックシステムの 4-2-3-1 フォーメーション。キューウェル、ケーヒルの回復が最悪の時の事を考慮してのテストだろう。ギリシア戦ではムーアがポポビッチに替わって起用濃厚だ。そしてスココが昨日の練習では MF のクリーナとの攻守の連携に時間をさいていた事が報道されている。スココはフランク=ファリーナ前監督時代はレギュラーで昨年のコンフェデレーションズ杯にも出場している。ヒディング監督になり起用機会が減っているがこのシステムの採用で状況は変わってきそうだ。またステリョフスキー、チッパーフィールドのFC Barsel 所属の2名にも出場機会は保証されそうだ。この二人は所属の FC Barsel が最終戦でリーグ優勝を逃した精神的ダメージが大きかったらしい。中田浩二はどうだったのかな?しかし、最近はチームによくフィットしてきており特にステリョフスキーは久々の代表定着に意欲満々だ。 ただベテランDFラザリディスの出番は無くなるか?1997年11月にここ MCG でイラン相手にまさかの連続失点を喫しフランスワールドカップ行きの切符を失ったが、ラザリディスはその時のメンバー。MCGでの試合出場にただならぬ思いもあっただろうが。 

3)怪我の回復具合
ヒディング監督への朗報としてケーヒル、アロイージの怪我の回復進行が良好であるとメディカルスタッフから報告された。あとはキューウェルだが、ひょっとして故障と言うのは三味線を弾いているのかな? ただ ”サプライズ人事” の一人ケネディがアキレス腱の痛みで離脱。ギリシア戦は欠場が濃厚。明後日の結婚式は大丈夫かな? 

4)予想スタメン  4バックでギリシア戦に臨む Socceroo の予想スタメンは下記の通り

       ビドゥーカ

ブッレッシアーノ  クリーナ  ステリョフスキー

ゲレラ      スココ

チッパーフィールド  ムーア ニール エマートン

     シュヴァルツァー ( カラッツ )  

システムのテストも大事だが、本音はこれ以上故障者を出さない事であろう。 
それとヒディング監督のもう一つの祈りはは冬に近づく南半球の変わり易いメルボルンの天候で氷雨や雪が降らない事だろう。

オーストリア vs クロアチア スカウティングは充分か?

2006-05-25 | FIFA World Cup
次期欧州選手権開催国に快勝

5月23日、クロアチア代表がウィーンにてオーストリア代表チームと“テストマッチ”を行い、アウェーながら 4-1 と快勝した。  オーストリアと言えば戦前は “ Wunder Team “ と欧州各国から恐れられたサッカー列強であった。しかし1938年フランス大会、事実上ヒットラーによりドイツ連邦に組み入れられたオーストリアは再三 FIFA をはじめ世界の機構に抗議したにもかかわらず FIFA は“オーストリアは既に存在せず”と予選エントリーを認めなかった。実際にオーストリアの優秀な選手達はドイツ代表に入れられた。しかしオーストリアの英雄 Matthias Sindelar はドイツ入りを拒否。最後は自殺をしたと後に報道された。彼はユダヤ人でもあった。オーストリアと言えば今でも鮮明に覚えているのは 1978年アルゼンチン大会だ。欧州予選では東ドイツを勝点1差で退け本大会に出場。本大会でも下馬評は低かったがスペイン、スウェーデンを連破し早々と2次リーグ進出を決めた。さすがに2次リーグではオランダ ( 1-5 ) イタリア ( 0-1 ) と連敗を喫したが最後の西ドイツ戦では終了直前エース、ヨハン=クランクルのゴールで38年ぶりに西ドイツに勝利を収め、西ドイツの大会2連覇の夢を砕いた。続くスペイン大会も欧州予選を突破。1次リーグではチリ、アルジェリアに連勝し前回同様1試合を残して2次リーグ進出を決めたが第三戦の西ドイツ戦は“ワールドカップ史上最悪の試合”と呼ばれる片棒を担ぐことに。西ドイツ、オーストリア両国が2次リーグに進出するには西ドイツが 1-0 で勝たねばならなかった。そして試合はその通りに進む。しかも両方とも公用語はドイツ語。前日チリを 3-2 で破り2勝1敗で1次リーグの日程を先に終了したアフリカ代表のアルジェリアを帰国させることに成功をしたのだった。西ドイツはその後決勝まで進むが大会初戦のアルジェリアには 1-2 で敗れていた。そして2次リーグでのオーストリアはフランス ( 0-1 ) 北アイルランド ( 2-2 ) と勝ち星無く大会を後にした。以降1990年イタリア大会、1998年フランス大会と8年ごとに地区予選を突破し、今大会は出場する順番であったが、今回のワールドカップ予選は第6組に入れられ3位に終わり本大会出場を逃した。3位といえば聞こえはいいかもしれないが、この組はポーランドとイングランドの完全なマッチレースで、1位ポーランド勝点25 2位イングランド勝点24に対しオーストリアは9勝点も開けられ4勝3分3敗の勝点15に終わっている。ウェールズにはホーム、アウェー共に勝利を収めたが、残りの2勝はホームのアゼルバイジャンと北アイルランド戦で上位2カ国との直接対決では最終戦ホームでのイングランド戦を 2-2 と引き分けた以外は全て黒星。予選終了後、ハンス=クランクル監督は退き、ジョセフ=ヒッケルスベルガー新監督の下。2年後の欧州選手権、スイスと共同開催のホスト国として強化を進めている。

ヒッケルスベルガー監督の指揮はこれで2試合目。3月1日にウィーンでカナダと対戦したが 0-2 で敗れている。クロアチアとは過去2回対戦して2連敗だ。 2年後の欧州選手権での好成績を目指すオーストリアはワールドカップ予選に臨んだ選手に3人の代表デビュー ( Prager, Leitgeb, Janko ) を加えての布陣。一方ワールドカップに備えるクロアチア、GKは再びレギュラーポジション奪還を狙うプレディゴサが先発。他は本大会で予想される先発メンバーがそのままスタメン。 オーストリアの首都ウィーンはクロアチアの首都ザグレブからは 300km 程度。クロアチア代表のクラニチャール監督はかつては Rapid Wien のスター選手だった。かつてウィーンは東欧の玄関口と言われていただけあって何かと縁が深いだろう。22,000人集まった Happel Stadion, 試合は開始からオーストリアが優勢に進める。この立ち上がりを地元メディアは“カナダ戦からは進歩が観られる”と一応の評価はあった。そして先制点は13分、イヴァンシュッツが決定的なボレーを放つがノーゴール。しかし、11分にはプルショの左からのクロスを受けたクラスニッチが至近距離からショット。これにはオーストリアGKペイヤーもなす術が無かった。そしてクラスニッチにはオーストリアDFイヴェルツベルガーのマークがルーズになっていたらしいがクロアチアは最初のチャンスを得点に結びつけた。 それでもオーストリアは3分後同点に。イヴァンシュッツがCKを直接クロアチアゴールに捻じ込んだ。 これは日本のスカウティングも要チェックだ。俊輔、CKでもどんどん直接ゴールを狙え!!
その後もオーストリアは攻守によく動き、25分にはニコ=コヴァチのヘッドをイベルツベルガーがクリアー、26分にはプルショのシュートをGKペイヤーがセーブ。攻撃陣も33分にはアウフハウザーが惜しいシュートを放つ。しかし35分にはオーストリアCBシャウナー、ストランツルを振り切ったクラスニッチが勝ち越しのゴールを挙げた。 

後半、クラニチャール監督は“地元” Austria Wien でプレーする第三GKディブリッツァを投入。開始直後にアウフハウザーのロングシュートは難なくキャッチ。彼も日本戦での出場を夢見ているか?55分には試合を決定付ける3点目が入る。ボランチ、ボビッチ18mからのシュートがGKペイヤーを破る。 そして以降はテクニックに勝るクラニチャールを中心としたクロアチア攻撃陣の独断場。70分には交替出場のバラバンの20mの直接FKが決まり4点目。そして後半から2得点を挙げたクラスニッチに替わって投入されたオリッチが5点目のチャンスを逸するが、怪我からの回復が不安視されていたオリッチが45分プレー出来たのはこの試合最大の収穫だ。クロアチアの次の試合は6月3日、ドイツのヴォルフクブルグで行なわれるポーランド戦だ。 

オーストリア  Standfest, Scharner, Stranzl, Ibertsberger - Lexa (83. Fuchs), Aufhauser (66. Feldhofer), Prager, Leitgeb (73. Mörz) - Ivanschitz - Janko (64. Linz)

クロアチア  Pletikosa (46. Didulica) - Simic, Tomas, R. Kovac (61. Tokic) - Srna (70. J. Leko), Tudor, Kranjcar, N. Kovac (57. Modric), Babic - Klasnic (46. Olic), Prso (57. Balaban)

得点者 0:1 (11.) Klasnic 1:1 (14.) Ivanschitz 1:2 (35.) Klasnic 1:3 (55.) Babic 1:4 (70.) Balaban (Freistoß)