Mr.コンティのRising JAPAN

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シンガポールにて アルビレックス新潟快勝

2006-05-04 | Football Asia
オーストラリアの西部一の大都市、パースで三日過ごして舞い戻ったシンガポールはやはり暑くて湿度も高い。だがパースより良い所も。街を行くタクシーは比較的安く、市民の足となっている。そして朝晩のラッシュ時等を除けば大体がどこでも拾える。そして街の至る所で見かける大衆食堂と言うかフードコートとでも言うか、この雰囲気は同じアジアの日本では醸し出せない。もっと中国語を勉強してここの老人達と話せたら彼らが日本をどう思っているか良く解るだろうに。 ここシンガポール Sリーグに参戦しているアルビレックス新潟シンガポール。先週はブログでも紹介したが、ロスタイムで追いつくと言う劇的な試合。今節 Round 9 は先陣を切って Sporting Afrique と対戦。その Sporting Afrique は今季からS Leagueに参戦しており、文字通り登録選手24人の中でシンガポール人DF選手1名を除いく23人全ての選手がアフリカ国籍。国別の内訳はナイジェリア人選手が最も多く15人。続いてケニヤが4人。カメルーン3人。そいてガーナ人が1人となっている。ワールドカップでは予選落ちしたナイジェリアだが、まだまだアフリカ大陸では原油に並んでサッカー選手の大産出国だ。そして陸上競技で名を馳せているケニヤから4人も選手がいるとは以外だった。前節は未だ勝利の無い Sengkang を 2-0と一蹴しこれまで6試合で勝点10と7試合で勝点9のアルビレックスを上回っている。この高温多湿の気象条件に、ピッチコンディションの悪さから単純に考えてアフリカ人選手の高い身体能力の前にアルビレックスの苦戦を予感してしまう。特に前節、 Gombak戦ではナイジェリア人選手 Obatola に手を焼いた印象が残っていたので競技場迄の道中、心配は募るばかりであった。仕事の都合で試合開始およそ20分後に競技場入りをしたのだが、既にアルビレックスが2得点を挙げてリードをしていた。当日は午後には雷を伴う強めの降雨があったが、さすがにホームの Jurong East Stadium は先週戦った Gombak のホーム Queens Town競技場と比較するとピッチ状態が格段に良くアルビレックスのパス回しが良く生きる土壌が揃っていた。メンバーを見ると先週途中交代で入った鈴木と阿部を入れてその阿部と河野大星で2トップの布陣を敷いていた。それが当り、開始7分には河野、そして9分には阿部の2人がそれぞれゴールを上げていたのだった。一方の Afrique は Nicolas Muyati, Harrison Muranda のケニヤ人が2トップ。DFは4バックで左サイドのナイジェリア人 Nzekwesiがたまに上がってくるが右サイドの同じくナイジェリア人 Anyfaloin はあまり上がってこられない。それはこの日もアルビレックスの左からの上がりが良いからだろう。前節、よく活躍したショーゴこと、吉澤正悟がこの日も良く動いていた。たまにナイジェリア人 MFの Udoaka が左から突破してくるが、これはDF田中秀哉が落ち着いて対応。DF陣はこの日も左から山本、上田、そして田中秀哉の3バックだ。スタンドは現地在住の、約20名のアフリカ系の人達がアフリカ独特のリズムで、のべつ幕なし歌を歌い続けサポートを。それがなかなか雰囲気を盛り上げてくれる。一方“ホーム”のアルビレックスは当地に駐在されているであろう邦人家族の応援を受けている。それも奥様達が中心だ。選手達は新潟ビッグスワンでの大サポーターの前でのプレーを夢見ているだろうが、異国で在留邦人の応援も大変暖かいものと感じているはずだ。前半34分、直接FKをゴール前で与えてしまうがそれはGK上杉哲平が好捕。それ以降は Afrique の時間が続く。アルビレックスは中盤の押し上げが遅れ気味でDFから前線に大きくフィードされてもサポートが遅れ、孤立気味。それ以降、ボールが繋がらない。Afrique は41分のこの日二人目の交替選手カメルーン人DFのEjiene Kaze Teffo が投入される。そして直後に左から Udoaka が持ち込み、攻撃参加をしていた DF Nzekwesi に繋ぎ、CBのケニヤ人Biketi が最後に撃つがゴール枠を大きく外れた。アフリカ選手は相変わらず激しいというか汚いというか稲垣順、田中秀哉があいつで顔を抑えて倒れるが主審はファウルを取るだけで注意もしない。そしてその報復とばかりに阿部博之が激しくタックルにいくとイエローが出される。それに対して与えられたFKから波状攻撃を受け連続シュートを放たれるが、GK上杉がナイスセーブで得点を与えない。ロスタイムにはDF山本寛幸が蹴られるがファールすら与えられない。だがこれが世界標準なのか?しかし先週のレフェリングを考えると、このリーグで世界標準は当てはまらないだろう。前半は何とか無失点で終え、けが人も出なかった。しかし後半開始早々の33秒。上田常幸が倒されるがノーホイッスルの上、 Afrique ボールとなる。そしてその直後のコーナーキックをドンピシャのタイミングで合わせた交代選手 Kaze Teffo の見事なヘッドで1点を返されてしまった。後半開始1分半であった。大喜びの Afrique サポーター達。リズミカルな奇声が上がる。これで一気呵成に追撃と思われた。しかし、このゴールで奮い立ったのはアルビレックスの方だった。試合再開直後にスルーパスに走り込んだ阿部がショットを放つがGKの正面に。右から先週同様に吉澤が左をどんどん切り裂く。そしてその吉澤が貴重な3点目を挙げたのは50分であった。右からのCKから左に流れノーマークの吉澤が余裕をもってゴールに流し、先に欲しかった次の得点が入った。大喜びのアルビレックスサポーター達。するとホームゲームのせいか、スピーカーから大歓声が。新潟での歓声を録音したものかな?吉澤正悟はこの試合の Man of the Match を受賞する事に。そして3分後の53分、尾崎瑛一郎が右サイドを崩しセンターへ、中の前田隆孝が落としたところを橋本卓が蹴り込んで4点目を。橋本は前節に続いての連続得点だ。 3点差になってもサポーターの合唱は鳴り止まない。しかしAfrique の選手達は今ひとつ身体能力を生かした個人の強さが見られない。元来が寄せ集めのせいか?戦術的なまとまりもなく、4点目を取られると更に前線と後方が間延びし、その間をアルビレックスの選手に駆け回られたり、ボールを通されたりしている。これが個人能力の高さを誇る代表クラスの選手ならば、1人の力である程度もっていけるのだろうが。62分にはCKから打点の高いヘッドが見られたがゴール枠を大きく外れる。誰が起点になるのかも見られず、交代で入った Kaze Teffo がボールを持った時のみ、そこから前線にいいパスが配球されたり、スピード溢れるドリブルで左サイドをあがったりと可能性が感じられた。こうなると試合は完全にアルビレックスのペースで余裕も出て来る。55分には阿部博之が御役目御免で末永雄樹が入る。これで河野大星のワントップになり吉澤が2列目の右に入り、吉澤のいた位置に末永が入った。65分にはその末永から良いクロスが入り、稲垣が撃つがGKの正面に。76分には橋本卓が下がり志田健太が入り再び河野、吉澤の2トップに。そして正悟の位置に志田が入った。こうして大塚監督も色々な選手、システムを試す余裕が。前にも述べたが、チームの最大の目標はリーグ戦の成績よりも1人でも多くの選手を日本に送る事だろう。そういう意味ではこういう試合展開が最も好ましいのではないか? Afrique のチーム事情はよく解らないが、 アフリカらしさが垣間見られたのはそのラフプレーばかり。70分にはCKのチャンスから一旦はゴールネットを揺らし、2点目か?と思わせたがキーパーチャージでノーゴール。すると3分後、今度は完全にGK上杉に故意に行った Udoaka がイエローカードを貰うが、ここは1発退場でも良かったと思う。この日は3枚の警告が Afrique に出されたが、もっと出されるべきであったと思う。83分にはアルビレックス最後の交替選手、磯貝新が鈴木健児に替わって投入される。磯貝、末永の両交替選手は JAPANサッカーカレッジ出身の選手だ。 そして試合はそのままタイムアップ。これでアルビレックスは8試合を消化して勝点12で Afrique を抜き、5月3日試合終了時点で勝点13で並ぶ Young Lions ( 5試合 ) Woodlands ( 8試合 ) Tampaines ( 7試合 ) Home United ( 6試合 ) Singapore Armed Force ( 7試合 ) の5チームに次いで11チーム中6位となった。しかし、順位よりも彼らにはもっと他の目標があることだろう。試合終了後グランドを Down Cleaning の為ジョギングする選手達に “頑張れよ!! 日本で待ってるぞ!! “ と声を掛けた。(聞こえたかな?) 選手達よ、新潟に凱旋し、定評の高いアルビレックスチアーリーダーのダンスに乗ってピッチ入りする日が来るだろうが、ここで在留の奥様達や子供達が送った声援も忘れないでくれよ。 そして翌日早朝、私は次の訪問地へと飛びたった…..