Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

レーマンは Torwart

2006-05-08 | EURO Football
シンガポール、オーストラリア、マレーシアそしてタイと行程は進むがこれらの国はサッカーファンにはありがたい国々だ。オーストラリアは言うまでも無いが、シンガポール、マレーシアは英語が公用語だ。サッカー雑誌も最近は増えており British Football Week それに Four Four Two 等英国で出版されているものが ASIA 版としてほぼ同じ内容のものが発行されており、しかも価格が現地の貨幣価値に合わされているので安く買える。 Australia 版はワールドカップ予選を突破した事もあり Scooeroo の特集も豊富だ。欲を言えばシンガポールやマレーシアのサッカー事情も特集してくれれば有り難いが。東南アジアのホテルでは有線でStar Sports やESPN 等が見れるところが増えており、日本にいるよりも欧州サッカーは身近に楽しめる。5月初旬にバンコック入りしたがここでもホテルの部屋でそれらの番組が楽しめる。Champions League UEFA Cup そして Premier の試合が何試合見られたことか。おまけに今日は ESPN で New York Yankees の生中継があり、松井の4打席凡退まで見られた。 シンガポール、クアラルンプールそしてバンコックと街はワールドカップモードで色々なイベントが準備されている。4年前もこの時期に来て色々な商戦企画を見たが、今回はそれ以上だ。それだけ景気が上向き、ワールドカップを大型テレビやDVDレコーダーの拡販の機と捉え、また大型ビジョンを設置しストランやフードコートに人を集めようという寸法だ。もしタイがアジア代表でワールドカップに出場したら街はどうなるのだろう。有り得ないとは言い切れない。

Gunners 悲願の決勝進出 
Highburyでの初戦を 1-0 と辛勝した Arsenal 。しかし満足感のあったのは次戦をホームで迎える Villareal であっただろう。しかし結果は違うものに。私は兼ねてから日本のマスコミが言う様な“勝ってもつまらないサッカー。負けてもスペクタクルな内容”と言う言葉が嫌いで仕方が無い。おそらくスポーツをした事が無い人間が吐いた言葉に過ぎないのだろう。スポーツは結果が全てだ。その結果の為に汗を流し、応援する者は寝食を忘れて祈るのだ。この試合の内容は最初から Villarreal のペースだった。攻撃はほぼアンリのワントップの布陣。しかもサポートもおそく Villarreal のアルゼンチン人GK バルボ-ザは殆ど仕事が無かった。その状態は開始8分にフランス人左DFの フラミニが負傷退場をした為で、Arsenalブラジル代表 MF ジルベルト=シルバは完全にVillarreal メキシコ人FW のフランコのケアーに腐心するに執心することに。しかも Arsenal DFキャンベルの出場はスイス人DFセンデロスの負傷で廻ってきたもので、フラミニに替わって入った21歳のフランス人DFガリエル=クリシーは11月に負傷して以来の試合出場。DF4人中2人がここ数ヶ月での出場権件が乏しくその連携不安が一気に噴出した。しかもこの大切な試合で。それを突く様に Villarreal の攻撃陣、フォルラン、フランコそしてリケルメがどんどん前線に上がってくる。しかしそれに立ちはだかったのがドイツ代表正GKとなったイエンス=レーマン。常に彼はオリバー=カーンの後塵を拝しているとプレミアのゲームでは相手チームのサポーターから野次られたり歌われたりしていたが、もうその歌声も聴かれないだろう。開始4分でこれまでオランダ人GKエドウィン=ファン・デル・サールの持つ Champions League 連続時間無得点記録 658 分を破る事に。以降アルゼンチン代表のファン=パブロ・ソリンのショットを。そしてフランコが囮となりArsenal DF陣をひきつけ、フリーとなったハビエル・ベンタの至近距離からのショットをファインセーブ。また前半終了間際のリケルメの30mフリーキックもゴールネットには届かない。後半開始早々のクロスもロブも難なく掴む。48分、交代出場DFクリシーを散々煩わせていたベンタがゴール中央のノーマークのフランコに絶好のパスがチップキックで上がる。フランコのショットにはさすがのレーマンも反応できず見送るだけだったが、そのボールは欧州並みに言えば数インチポストをそれた。その5分後さらに大きなチャンスがフランコに訪れる。ブラジル人MFマルコス=セナからの絶好のクロスがドンピシャのタイミングで合うがこのヘッドはクロスバーを越えてしまう。65分にヴァイタルエリアでの Villarreal 攻撃陣のボール回しでレーマンがつり出され、番人のいないゴールに放たれたフォルランのシュートはまたもネットを揺らせなかった。70分を過ぎると更に Villarrealは総攻撃を掛ける。そしてついにフランコがゴールを割った。これで今季の Champions Leaue 連続試合無失点記録が途絶えたと思われたがラインズマンはオフサイド判定。何度もリプレーが映し出され世界の視聴者に確認を仰ぐ。このオフサイドの判定で、もう Villarreal の運は尽きたと思われた。しかし、まだドラマは残っていた。ロスタイム入り直前、スペイン代表の ホセ・マリア・ロメロがペナルティーエリア内でクリシーがプッシングの反則を取られる。この判定を試合後ヴェンゲル監督は” generous : 気前の良いペナルティーの判定 “ と語るほど微妙であったか。El Madrigal 競技場の約23,000人のサポーターは大喜び。アルゼンチン代表で南米でも屈指のストライカー リケルメがボールをスポットにセットする。リケルメは緊張の面持ちだが、競技場からは声にならない期待が醸しだされる。しかし、そこに立ちはだかったのは文字通りの Torwart レーマンであった。試合の数日前にリケルメのPKをイメージしたと後に語った通りに左に倒れ込むとそこにリケルメから放たれたボールが飛び込んできて、ゴールラインを割らせなかった。今度は数百人の Arsenal サポーターが歓喜乱舞する番だ。レーマンは昨季何度か試合から外された事も。試合後のヴェンゲル監督は冗談交じりに“恐らくそれは good decision”とコメント。昨年の FA Cup でもそして Schalke時代の 1997-98 UEFA CupでもPK戦の立役者となったレーマンはこの日は10点満点中9点の採点が。一方なんとも言えない嘆息の漏れる El Madrigal 。目の前で起こった事が信じられないのか?リケルメの表情は茫然自失が正に適切。それでも4分あったロスタイムになんとかすべきと Villarreal の選手達はボールを追う。だがリケルメは足が動かない。すると今度は抜け出たアンリがGKと1対1になる。これが Arsenal 唯一の決定機であった。これを今度はバルボザがブロック。まだ時間は残っている。前線に長いフィードが入る。しかしリケルメはオフサイドのポジションに。それでもまだ次のチャンスに気を取り直したかリケルメがペナルティーエリア内でパスを受けてショットを放つがDF陣にブロックされる。 そしてタイムアップ。足早に控え室に駆け込むリケルメ。 El Madrigal には数百人の Gunners サポーターの雄叫びがこだまする。しかし、地元サポーターは取り乱す者は皆無に近く、目の前の敗れた英雄達に暖かい拍手を送る。フォルラン、フランコを初め、こらえていたものが一気に爆発し悔し泣きにくれる選手が次々と。それはこの試合結果よりも、敗れた自分達に拍手を送ってくれるサポーター達に歓喜をプレゼント出来なかったその悔しさだろう。Yellow Submarine の Magical Mystery Tour が終わった。と UEFA の公式ホームページは結んだ。 Beatles マニアから言わせて頂ければ(もちろん興味を持った時は解散して6年程が経過していた。) Yellow Submarine はアニメが製作されなかったら世界的に知られる事は無かったと言われ、 Magical Mystery Tour は Beatles でも間違いは犯すと言うことが証明されたと評論家から言われた、駄作の映画だ。ここは彼らの快進撃に敬意を評して他の Beatles Numberで映画化された Let it be ( なすがままに ) というべきだろうに。昔ベッケンバウアァーが語った。強い者が勝つのではない、勝った者が強いのだ。同じドイツ人のレーマンのこの日のパフォーマンスは後に Arsenal の歴史の1頁に必ず記されるだろう。長年の、数多くの挑戦を重ねて初めて Champions League の決勝戦に辿り着いた Arsenal はCeltic, Manchester United, Liverpool, Nottingham Forest, Aston Villa に続いて英国のクラブチームでChampions League ( または Cup ) タイトルホルダーの仲間入りまであと1試合と迫った。