鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1369~ユニコーン

2017-05-29 12:25:11 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「ユニコーン」です。

原田マハ著「ユニコーン ジョルジュ・サンドの遺言」を読みました。

AMZONの内容紹介を引用します。
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「それが、それだけが、私の唯一の望み──」
ある一つの望みを未来に託し、ジョルジュ・サンドは永遠の眠りにつく。
その昔、彼女は滞在していた古城で美しいタピスリーに魅入られた。
そこに描かれた貴婦人が夜ごとサンドの夢に現れ、震える声で語りかける。
「お願い、ここから出して」と──。
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「貴婦人と一角獣」に秘められた物語が今、幕を開ける。
『楽園のカンヴァス』で山本周五郎賞を受賞したアート小説の旗手・原田マハの書き下ろし。
中世ヨーロッパ美術の最高傑作「貴婦人と一角獣」の謎に迫る。
「貴婦人と一角獣」のカラー図版掲載。
ジョルジュ・サンドの短編も収載。
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タピスリーの貴婦人は、ジョルジュ・サンドに助けを求めた。
中世美術の最高傑作「貴婦人と一角獣」に秘められた物語が、幕を開ける。
ジョルジュ・サンドの短編も収載。
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著者の美術モノ。
今回は、中世美術の最高傑作「貴婦人と一角獣」を扱っています。
もの悲しげな貴婦人がユニコーンとライオンを従えたタピストリー。
誰が何の目的で描いたのか?
仮説の紹介をさらりと描いています。
そしてネズミにかじられてボロボロになったタピストリーを救うべく活動したサンドのこともさらりと描いています。
美術専門家として詳細を知るはずなのに、ストーリー重視でさらりと描くとは、とても著者らしい描き方です。

作品の中で、女流小説家ジョルジュ・サンドは、古城の女城主に身の上話をします。
いかにして小説家になったか、夫と不仲の理由、今思いを寄せている人について。
その思い人は、ショパンでした。
本書は、サンドとショパンのその後について触れていません。
読みながら思い出しました。
ピアニスト辻井伸行がコンサートで「風の家」を演奏する前に語った言葉を。
不幸な人生を送ったショパンが唯一幸せな日々を過ごしたのは、地中海に浮かぶマヨルカ島。
その家は気持ちの良い風が通る家で、風の家と呼ばれていました。
そこでショパンは、サンドと彼女の子どもと幸せな時間を過ごしたのでした。
辻井はそこを訪ねて風を感じ、「風の家」という曲をつくりました。
ショパンとサンドの幸せな時間が、演奏を聴く者にも感じられる素敵な曲でした。

本書は、サンドとタピストリーの物語を描いた短編集。
著者は、本書を長編小説として仕上げる用意があるそうです。
その時には、ぜひショパンとサンドの幸せな日々も加えて描いて欲しいと願っています。




コメント
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