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アメリカの孤独

 

 エドワード・ホッパー(Edward Hopper)の絵は、アメリカ絵画の一つの道標らしい。アメリカの写実絵画と言うと真っ先に名の上がるのが、ホッパーなのだそう。
 が、ホッパー本人は「アメリカの国民的感覚による印象ではなく、自分の個人的な印象を描いた」と言ってるから、ホッパー自身がアメリカ人の一典型だったんだろう。
 
 当時流行のヨーロッパ・キュビズムには影響を受けず、一昔前のヨーロッパ・リアリズムに傾倒したのだから、立派。このリアリズムは、のちの画風に貫くホッパーの基本的な特徴だけれど、彼がイラストレーター出身だからだろうか、どこか図式的、画一的な、ある種独特なものがある。
 
 テーマは、都会のオフィスやホテル、カフェ、ドラッグストア、ガソリンスタンド、シアターなど、人が集まる場所。が、そこにいる人物たちは互いに孤立している。
 加えて、いたってシンプルな構図、強い水平線や垂直線、対角線たちで作られる大きなフォルム、平坦な色面、くっきりと際立つ明暗などの画風が手伝って、画面には不気味なほどの静寂と、底冷えするような孤独、憂鬱、倦怠、寂寥が漂う。
 ニューイングランドの風景も描いてるが、やはり、どこかぞっとするような内省的な風景となっている。
 
 なぜと聞かれてもよく分からない。が、ホッパーの絵はうつろで、とてもじゃないけど楽しい気分になれない。
 私にはホッパーの感じ取った現代人の孤独を感じるだけの、ある種繊細な感受性と言うか鋭敏な感覚と言うか、そういうものがないのかも知れない。
 
 画像は、エドワード・ホッパー「ケープ・コッドの午後」。
  エドワード・ホッパー(Edward Hopper, 1882-1967, American)
 他、左から、
  「ガソリンスタンド」
  「ドラッグストア」
  「ニューヨークの映画館」
  「リー海岸」
  「二灯の灯台」

     Bear's Paw -絵画うんぬん-        
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