世界をスケッチ旅行してまわりたい絵描きの卵の備忘録と雑記
魔法の絨毯 -美術館めぐりとスケッチ旅行-
ギリシャ神話あれこれ:オデュッセウス帰還-カリュブディスとスキュラ

船の航路は二つに分かれていた。
一方は、神々が“漂い岩”と呼ぶ、荒れ狂う大波が絶え間なく打ちつける、山のように切り立った岩礁で、ゼウス神の伝令鳩でさえ、無事に通り抜けることはできないという。もちろん人間は、避けて通らねばならない。
もう一方は、巨大な二つの岩間の海峡で、岩にはそれぞれ怪物が棲んでいる。
てっぺんにイチジクの大木の生えた、背の低い巨岩のほうには、その根元に怪物カリュブディスが棲む。
カリュブディスがどんな姿なのか、ちょっと分からないのだが、巨大な水袋に、アザラシのような四肢のヒレをつけた格好らしい。大食漢で一日三度の食事を欠かさず、この食事たるや、顔面これすべて口という馬鹿でかい口で、あらゆるものを海水ごと吸い込んでは吐き出すという、シロナガスクジラ並みに豪快かつ無精なもの。
このため、カリュブディスの周りには海底の岩礁が覗くほどの大渦が逆巻き、近づいた船はことごとく、逃れようもなく巻き込まれてしまう。
このカリュブディスは、もともとは海神ポセイドンを父に持つ、美しいナイアス(水の精)だった。
ゼウスと常に反目している父ポセイドンに忠実で、ポセイドンが嵐を起こすと、その潮に乗り、潮を浜へと連れてゆく。こうして村や野や森を貪欲に水浸しにし、陸地を父神の海界の領域として勝ち取ろうとする。このため、激怒したゼウス神によって、カリュブディスは怪物の姿に変えられたのだという。
あるいは、もともと異常に大食らいだったのが昂じて、ゲリュオンの牛を盗んで食らい、ゼウス神に怪物にされたともいう。
To be continued...
画像は、ベリー「オデュッセウスとセイレン」。
レオン・オーギュスト・アドルフ・ベリー
(Leon Auguste Adolphe Belly, 1827-1877, French)
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