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ジャック・ザ・リッパーのミステリー(続々)

 
 切り裂きジャック事件を念頭に置くと、シッカートには、ざっと以下のような不穏な点がある。

 事件の20年後、シッカートは切り裂きジャックによる娼婦殺害をテーマに、「カムデン・タウンの殺人」という連作を描いている。これらの絵に描かれたシーンは、殺害現場や死体置き場に酷似している。
 シッカートは遺体が運び去られる前の現場検証の際に近くを通りかかり、地元の有名画家の特権で、被害者の部屋への立ち入りを許可されたことがある。
 事件の被害者は全員、スカーフやネッカチーフ、ハンカチなど、何らかの布切れを首に巻いていた。一方、シッカートのアトリエには赤いネッカチーフがあり、彼は自らを犯人に見立て、これを首に巻いて制作した。このアイテムは絵のインスピレーションの源泉で、彼は誰にも触らせなかった。
 シッカートの描く女性はほとんどすべて死体のようで、首に切られたような傷跡が見られるもの、殺害後の被害者に酷似したものもある。スケッチを含め、絵には早くから暴力的な主題(女性が襲われたり、縛られ刺されたりするもの)が見られる。
 彼は、実際に見たものしか描かない画家だった。記憶力はずば抜けていた。

 切り裂きジャックの手紙には、絵画専門紙やエッチンググラウンドが用いられたものがある。また、絵筆で絵具やインクを塗ったものもある。
 手紙にはさらに、スケッチが描かれたものもあるが、これらはプロの手によるもので、シッカートの画風とも一致する。

 シッカートはいくつもの秘密のアトリエを持ち、昼間、小間切れに寝て、夜になるとスラムをうろつくという趣味があった。

 また、手紙や新聞への投書が好きで、膨大な量の書き物をした。そのなかで自分の博識を自慢し、ときに唐突に病的で暴力的な表現を用いた。
 筆跡には一貫性がなく、自在に変えることができた。

 ……等々。

 To be continued...

 画像は、シッカート「陸の上のジャック」。
  ウォルター・リチャード・シッカート(Walter Richard Sickert, 1860-1942, British)

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