世界をスケッチ旅行してまわりたい絵描きの卵の備忘録と雑記
魔法の絨毯 -美術館めぐりとスケッチ旅行-
されば悲しきアホの家系(続々…………々々々々)
二条の家の人間はみんな、とかく身贔屓だ。自分の親だの子だの、嫁だの婿だの、孫だのを、やたら褒めたがる。
だが滑稽なことに、自分自身を褒めることはほとんどない。褒める余地を自分が持たないことを自覚しているのかも知れない。
この、自分のことは自慢しない、という体質の二条の家では、父の兄弟姉妹のうち、誰が賢くても、誰が美人でも、誰が商売繁盛でも、それはその美点を持つ当人ではなく、兄弟姉妹みんなの自慢の種となる。
が、子供たちの代を自慢するとなると、ちょっと様相が変わってくる。
二条の家の兄弟姉妹はみんな、兄弟姉妹の子供ではなく、自分の子供を自慢したがる。「うちの子は賢いで」、「うちの子は別嬪やで」云々。
ところで二条の家の人間が身内を褒めそやすとき、必ず眼に見える特徴しか褒めることはない。例えば、別嬪、男前、モテる、役職に就いている、成績が良い、給料が良い、資格を持っている、上司に信頼がある、というふうに。逆に、意志が強いとか、度胸があるとか、マイペースだとか、心優しいとか、気丈だとか、そういう目立たない長所については、褒めようとしない。そもそも心眼が曇っているので、気づくこともない。
さて、さすがに父たち兄弟姉妹の子供たちの代ともなると、みんな高校に進学する(全員が普通科というわけではないのだが)。父たち兄弟姉妹にとっては、自分の子供たちの、この高校進学というのが、何より自慢の種となる。
To be continued...
画像は、バジール「家族の集い」。
フレデリック・バジール(Frederic Bazille, 1841-1870, French)
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