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炎の画家

 

 ちょっと前に「ゴッホ展」に行ってきた。人気画家ゴッホは、日本にじゃんじゃん来てくれるから嬉しい。
 ゴッホの絵は大好き。心の純真さにも共感が持てる。頭の形は、かの中田英寿にそっくりで、これも好感が持てる。

 フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)と言うと絵画史では、セザンヌ、ゴーギャンとともに、狭義の後期印象派の画家3人衆に数えられる。
 でも、セザンヌやゴーギャンに比べると、ゴッホの位置は微妙なものだと私は思う。セザンヌの多角的視野による構図や、ゴーギャンの総合主義は、20世紀抽象絵画に大きな影響を与えた。対して、ゴッホが与えた影響というのは、彼の絵に見られる画家の主情の表現、その表現のための激しいタッチと色彩、というあたりに尽きる。

 絵は、多かれ少なかれ、画家の内面を表現するものなのだから、ゴッホのインパクトというのは、つまり、「絵が自由であること」、「画家を基準とした、画家の表現であること」を示したことにあるように思う。
 実際、ゴッホの絵は、それ以前の、またそれ以降の、どんな画家の絵とも異なっている。独特というのは、ああいう画風を言うのだろう。ゴッホには他に何もなかった。絵しかなかった。だからああいうインパクトのある絵が描けたのだと思う。

 ゴッホは狂気の画家だと、よく言われる。耳をそぎ落としたり、ピストル自殺を図ったり。が、実際のところ、ただ躁鬱が激しすぎただけのような気がする。狂気というのは、ゴッホのような場合を言うのではない、と勝手に思っている。
 気分が波に乗ると、それこそ波の勢いで、うねるような筆致で、あっという間に絵を描く。けれども、その気分は本人自身がコントロールできるものじゃない。波は突然やって来る、そして去って行く。本人はさぞかし苦しかったことだろう。

 さて、子供の頃、ゴッホと言うと教科書には、うねるような筆致とか絵具の厚塗りとかばかり解説が載っていた時分、私は、ゴッホって、どうしてこう、補色の使い方が上手いかねー、と思っていた。仮に筆致や厚塗りを外しても、この色彩感覚はタダモノではない。……すると最近、同じような批評をTVなどで聞くようになった。
 私ってば、ゴッホ論を20年も先取りしてたんだねえ。

 画像は、ゴッホ「夜のカフェテラス」。
  フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh, 1853-1890, Dutch)
 他、左から、
  「糸杉のある麦畑」
  「アルルの跳ね橋」
  「ひまわり」
  「カラスのいる麦畑」
  「オーヴェールの教会」

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