世界をスケッチ旅行してまわりたい絵描きの卵の備忘録と雑記
魔法の絨毯 -美術館めぐりとスケッチ旅行-
ギリシャ神話あれこれ:大アイアスの死(続)

さて、その夜、憤懣遣る方ない大アイアスは、逆上が昂じて狂乱し、船陣を飛び出す。吼え猛りながら、オデュッセウスを初めとする味方の諸将らに剣を振るって切り込み、暴怒に任せてがむしゃらに諸将らを殺戮する
が、ふと、自分が殺しまくっていたのが羊の群れだったことに気づく。
アテナ神がオデュッセウスに危害が及ばぬよう、大アイアスを狂わせ、羊を人間と錯覚させていたのだった。
正気に返った大アイアスは、自らの所業に愕然となって、血まみれの羊の死骸の真ん中にへたれ込む。
ああ、これほどまでに勝利のために貢献した自分を、なぜに神々は嫌うのか? 神々は勇者ではなく策略家を贔屓するのだ!
大アイアスは自分の愚かしい行為を恥辱と感じ、神に欺かれたこと、味方の諸将から称賛を得られなかったことを悲憤する。そして、これ以上ギリシアのために戦うことは虚しい、と、かつて敵将ヘクトルから貰い受けた剣を取り、自ら脇腹(あるいは喉)に突き刺した。
大アイアスは幼少時、ヘラクレスのライオンの毛皮で包まれていたために、不死の身体を得ていた。毛皮に触れなかった脇腹(あるいは喉)だけが、アキレウスの踵がそうだったように、大アイアスの不死の弱点だった。
大アイアスから流れ出た血は一面の大地に染み込み、そこからアイリスの花が咲いたという。
To be continued...
画像は、ティエポロ「大アイアスの自害」。
ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
(Giovanni Battista Tiepolo, 1696-1770, Italian)
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