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ギリシャ神話あれこれ:ヒュアキントスの死

 
 失恋続きのアポロン神だが、美青年なせいか少年にはモテたらしい。が、やはり悲恋に終わっている。さすがにここまでは、アポロンに責任はないと思う。
 ところで、ギリシャには花が少ないせいか、花にまつわる物語には、ギリシャ人の愛着を感じるものが多い。

 ヒュアキントスは端正な美少年で、アポロン神の寵童だった。
 このヒュアキントスに横恋慕していたのが、西風の神ゼフュロス。が、ヒュアキントスのほうはアポロンに夢中で、ゼフュロスのほうになど振り向きもしない。

 ヒュアキントスが、野原でアポロンと円盤投げの競技に興じていたときのこと。二人のいかにも仲睦まじい様子を見て、激しい嫉妬に襲われたゼフュロスは、アポロンが円盤を投げたとき、突風を吹きつける。ま、ちょっと邪魔してやろうと思っただけかも知れない。
 が、結果、円盤は方向を変え、ヒュアキントスの額に直撃。ゼフュロスは、風の兄弟神たちのなかでは最も温厚なのだけれど、こと恋においては、やっぱりこの有様。

 ヒュアキントスは血にまみれて倒れ、駆け寄ったアポロンに抱かれて死んでゆく。アポロンの悲嘆によって、その血を吸った大地からは、赤い鮮やかな花が咲く。アポロンは花びらに、Ai Ai(ああ、哀しい)という悲嘆の文字を刻みつける。これが、ヒヤシンス。

 ヒヤシンスというのは、なんだか花が塊のようにして咲く花だっけ。子供の頃、母がベランダで育てていた。
 何もない土から、硬そうな芽が突き出し、硬そうな葉っぱに伸びて、あっという間に花をつけた。この早送りの記憶は、ごくたまに、部屋の窓からベランダを覗いてためだと思う。暖かくなって、花が咲いてからは、よくベランダに出て花を愛でていた。くらくらするような、物凄い甘い香りが、ベランダ中に漂っていた。 

 画像は、ジャン・ブロック「ヒュアキントスの死」。
  ジャン・ブロック(Jean Broc, 1771-1850, French)

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