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天真爛漫系の画家

 

 アンリ・ルソー(Henri Rousseau)は素朴派とか原始主義とか呼ばれるが、確かに、どこの流れにも分類しがたいオリジナリティがある。
 
 ルソーは非常に純真な性格で、40歳になってから定職を捨て、貧乏しながら黙々と絵を描いた。どれだけ周囲から揶揄され、嘲笑されようと、気にもかけず、自らの画才を信じて疑わなかった。
 アカデミックな様式で、対象を正確に写そうと大いなる努力をしたあげくに、子供みたいに無邪気な、幼稚でユニークな、できそこないのような絵を描く。悪く思うわけじゃないけど、なんだか思わず笑っちゃう。
 でもその崩れは、計算ずくで描いたものではないから、決して嫌味がない。どこか朗らかな、陽気なユーモアを感じる。

 そうやって絵を描き続けて、次第に不思議な、魅惑的な密林の絵を描き始める。うっとりするような、ぞっとするような、なんとも魔術的な、鬱蒼としたジャングル。眼の醒めるような鮮明な、青々とした熱帯植物。異国情緒ある、原色の花々。虎やライオンやゴリラや猿などの神秘の野生動物。
 本人、これらのイメージは、軍にいた際に駐屯したメキシコで得たものだと主張したが、これはデタラメで、ホントはパリの動物園と植物園でスケッチしたものなのだそう。
 思わず笑っちゃう。でも奔放な、独断的なイマジネーションには敬服する。

 絵は、誰にもおもねず、へつらわず、てらいもせずに、真摯に描き続けていれば、いずれ自然と、その人ならではのものが生まれるのだ。……と、私は、笑っちゃいながらも、ルソーに教えてもらった。

 画像は、H.ルソー「カーニバルの夕べ」。
  アンリ・ルソー(Henri Rousseau, 1844-1910, French)
 他、左から、
  「トラ猫」
  「フットボールをする人々」
  「フラミンゴ」
  「眠れるジプシー」
  「蛇使いの女」

     Bear's Paw -絵画うんぬん-
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