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ギリシャ神話あれこれ:黄金大好き、ミダス王

 
 ギリシャ神話というのは、残酷で情念的にドロドロとしたものが多い。なので、柔らかい物語に出くわすと、ちょっとホッとする。ミダス王の物語は多分に寓話的で、イソップでも取り上げられている。

 プリュギアの王ミダスは黄金が大好き。きんきらきんの宮殿に住まう大富豪なのに、もっともっと黄金が欲しくて、こんなことを思いついた。

 王は、シレノス爺さんがいつも水を飲みにくる泉に、酒をしこたま混ぜておかせた。いつものように腹いっぱいに水を飲んだシレノスは、したたかに酔っ払って、ふらふらと薔薇の咲き乱れる庭園に入り込んで、いい気分で眠りこける。
 まんまとシレノスを捕まえたミダス王。王宮まで家来に連れて来させると、10日間、大酒盛りの饗宴でこの珍客をもてなした。で、11日目の朝、シレノスを住み慣れた野へと帰してやった。

 さて、この話を聞いた寛大な酒神ディオニュソスは、養父のシレノスを歓待してもらった返礼に、何でも一つだけ望みを叶えてやろう、とミダス王に言う。
 黄金の大好きなミダス王は、にんまり。待ってましたとばかり、では私の身体に触れるものすべてが黄金に変わりますように、とお願いする。大らかなディオニュソス神は、ミダス王の軽率な祈りを快く聞き遂げる。

 王宮に戻ると、さっそく王はいろんなものに手を触れて、小枝やら石ころやらを黄金に変えてみた。触ったものが手当たり次第に黄金となるのだから、初めの驚愕を通り過ぎると、王はもう天にも昇る喜びよう。

 To be continued...

 画像は、W.クレイン「ミダス王とその娘」。
  ウォルター・クレイン(Walter Crane, 1845-1915, British)

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