ギリシャ神話あれこれ:ペロプスの戦車競走(続々)

 
 さて、勝利したペロプスは、ヒッポダメイアとミュルティロスを乗せ、そのまま故郷に向けて戦車を駆る。が、いざ勝利を得てしまうと、惜しくなるのが約束の報酬。
 一方、ミュルティロスのほうは報酬を貰う気満々で、ペロプスがヒッポダメイアのために泉の水を探しに出た隙に、体をよこせ、とヒッポダメイアに襲いかかる。

 ペロプスは、もはや邪魔になったミュルティロスを、ゲライストス岬を通り際、戦車から突き落とす。早速、オイノマオス王の呪いが成就したわけ。
 もはやこれまで。海中へと没しながら、ミュルティロスもまたペロプスを呪う。お前の一族、子々孫々に災いあれ!
 ミュルティロスは死して馭者座となったという。

 ペロプスは、世界の果てを取り巻く極洋オケアノスまで戦車を駆り、鍛冶神ヘパイストスに殺人の罪を浄めてもらう。その後、ピサに戻り、周辺諸国を制圧。自身にちなんで王国の名をペロポネソスと改めた。

 ペロプスは多くの子に恵まれたが、やはりミュルティロスの呪いが成就し、一族は骨肉相食む欺騙と姦淫と謀殺を繰り返す。
 ミュルティロスの呪いによって死んだペロプスの庶子クリュシッポスが、自分を強姦したテバイの王ライオスの一族を呪ったことで、ライオスとオイディプス以降のテバイ王家にまで、悲劇が伝播する。

 ……この呪いの連鎖、ついていけない。


 画像は、カゼロウスキー「戦車競走に勝利したペロプスとヒッポダメイア」。
  アウグスト・テオドール・カゼロウスキー
   (August Theodor Kaselowsky, 1810-1891, German)


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