ミュシャ美術館

 
 先日プラハに行ったとき、国立美術館で時間を食いまくって、ミュシャ美術館に行けなかった。で、相棒にねだって、滞在を一日延ばしてもらったのだが、その夜中に気分が悪くなって、明け方には吐いてしまった。
 水分を全部吐いて、何を飲んでも飲んだ分だけ、一口飲めば一口分だけ、胃液と一緒に吐く。立っているのがつらいので、横になってめそめそしていると、相棒がからかった。
「きっと水に当たったんだよ。これじゃ、とてもミュシャはMucha(=ムチャ)だね。胸がMuchaMucha(=ムカムカ)してるうちは、おとなしく寝ていることだね。Muchachachacha(=ムハハハハ)」
 ……

 結局、少し寝た後、意を決してホテルを出、ベンチがあれば休み、教会があれば休んで、美術館まで歩いた。
 美術館は旧市街の目立たない一角の、白い建物。どどーんと大きくてたじろいだが、実際には一階部分だけが美術館で、しかも美術館というより博物館という展示内容。こじんまりしていて、絵は少なかった。おまけに、やけに日本人が多い。日本人はミーハーだからな……
 美術館のトイレでも何度か吐いて、座って休むために、一度観たドキュメンタリーを何度も繰り返し観て、スタッフ用の椅子に勝手に座り座りしながら館内をまわった。隅々までじっくり観たと言い切れるが、所要時間は2時間程度。

 チェコと言えばアルフォンス・ミュシャ、と謳い、そのミュシャのための美術館、と謳うのがこれじゃあ、物足りない。その代わり、ミュシャ・グッズを並べた併設のショップがかなり大きい。
 本場プラハでミュシャに触れたい、という願望のために用意された、観光客用のミュージアム、という感じ。
「また、セコいチェコ商法に引っかかってしまったねえ」と相棒が言う。「ま、いいか。本格的な美術館だったら、チマルさんぶっ倒れてただろうからね」

 それでも、モラヴィアチックな衣装を着た油彩画や、鉛筆やウォッシュの素描を観ることができたので、私としては文句はないんだけど。

 画像は、ミュシャ「ヒヤシンス姫」。
  アルフォンス・ミュシャ(Alphonse Mucha, 1860-1939, Czech)

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