キム・ギドク監督は「魚と寝る女」や「悪い男」などで知られているが、私は彼の作品を観るのはこれが初めて。韓国の山奥の小さな湖に浮かぶ寺を舞台に、そこに子供の頃に預けられた一人の男の人生を季節の移ろいと共に描く。
こういう寓話性の高い設定では、作者側に観客を自分の世界に引き込む力業と聡明さが必要だが、残念ながら物足りない。とにかく、仕掛けが見透かされているのだ。
主人公と謎めいた和尚との関係も、彼が語るウンチクも、独自性を出したつもりのセットも、すべてが“語るに落ちる”次元から一歩も踏み出せていない。終盤には和尚が湖の岸から寺に自在に移動できる“理由”を明かすのを始め、主人公にクンフーのポーズを取らせてみたり、大仰な挿入歌と共に汗くさい場面が延々と展開されたり、ヤケクソとしか思えないシーンばかりが続く。
要するに“常識人が異能作家のマネをしただけ”というレベルであり、単なる自己満足の産物であろう。カネ取って見せるものではない。
こういう寓話性の高い設定では、作者側に観客を自分の世界に引き込む力業と聡明さが必要だが、残念ながら物足りない。とにかく、仕掛けが見透かされているのだ。
主人公と謎めいた和尚との関係も、彼が語るウンチクも、独自性を出したつもりのセットも、すべてが“語るに落ちる”次元から一歩も踏み出せていない。終盤には和尚が湖の岸から寺に自在に移動できる“理由”を明かすのを始め、主人公にクンフーのポーズを取らせてみたり、大仰な挿入歌と共に汗くさい場面が延々と展開されたり、ヤケクソとしか思えないシーンばかりが続く。
要するに“常識人が異能作家のマネをしただけ”というレベルであり、単なる自己満足の産物であろう。カネ取って見せるものではない。
