ある意味“スゴい”映画だと思う(笑)。高樹のぶ子による谷崎潤一郎賞受賞作品の映画化だが、ガンで余命幾ばくもないはずなのに見た目は健康体そのものである永島敏行と、誰も頼みもしないのに勝手なモノローグを捲し立てる秋吉久美子とのよろめきシーンが延々と続くだけ。しかも、ストーリーは御都合主義的かつ行き当たりばったりで、マジメに観ているとバカバカしくなる。
しかし、この映画はそんな作劇の不手際を超越した興趣を感じさせるのも確か。それは主演二人の、往年の大映ドラマもかくやと思わせる極限にまでにクサいセリフの連発と自己陶酔的な大げさ演技のオンパレードが、単なる“ダメな映画”の枠組みを逸脱して、歪んだエンタテインメントの一種として昇華しているからだ。
根岸吉太郎の演出もヤケクソと言うしかなく、ここまで開き直ってくれるとある意味天晴れだ。たぶん当初の予定通り萩原健一が主演していたら“フツーの駄作”になっていたかもしれない。日野皓正の音楽も、それ自体は悪くないものの、映像とあまり合っているとは思えない。
たぶん、あと十年ぐらい経ったら“カルト映画の極北”としての地位が確定し、特定の好事家の興味を引き続けることだろう。
しかし、この映画はそんな作劇の不手際を超越した興趣を感じさせるのも確か。それは主演二人の、往年の大映ドラマもかくやと思わせる極限にまでにクサいセリフの連発と自己陶酔的な大げさ演技のオンパレードが、単なる“ダメな映画”の枠組みを逸脱して、歪んだエンタテインメントの一種として昇華しているからだ。
根岸吉太郎の演出もヤケクソと言うしかなく、ここまで開き直ってくれるとある意味天晴れだ。たぶん当初の予定通り萩原健一が主演していたら“フツーの駄作”になっていたかもしれない。日野皓正の音楽も、それ自体は悪くないものの、映像とあまり合っているとは思えない。
たぶん、あと十年ぐらい経ったら“カルト映画の極北”としての地位が確定し、特定の好事家の興味を引き続けることだろう。
