元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「マスク」

2009-09-09 06:31:39 | 映画の感想(ま行)
 (原題:The Mask)94年作品。先日テレビ画面で再見したが、やっぱり面白い。作りに迷いがないというか、徹底的に観客が欲しているものだけをそのまま差し出す潔さ。アニメ的描写が目立つ映画だが、全体的にディズニーの品の良さよりも昔のワーナーやMGMでやってたカートゥーンの下品さ(?)を基本にしている。「トムとジェリー」がテレビ放映されていた頃、30分3本立ての中で2本目のドルーピーや熊のバーニーが活躍するアレだ。同じようにワーナー製カートゥーンを下敷きにした「ロジャー・ラビット」がまだ人間のキャラクターとアニメのそれが分けられられていたのに対し、この作品では人間の登場人物がアニメ的に変身する。この意味で実に画期的な映画だ。

 この映画で一番たまらない点というと、主人公がマスクをかぶってスーパー・ヒーローになると、周囲の人物や環境までもが“マンガ的世界”に突入してしまうこと。「アラジン」に出てきた魔神ジニーや「トイズ」の主人公(あ、どっちもロビン・ウィリアムズだった)がいくらマンガチックだと言っても、それは本人だけの話。周りのキャラクターを巻き込んですべてが非日常ギャグ漫画ワールドに転化させてしまう実写映画は、私の知る限りこの「マスク」が初めてだ。主人公がナイトクラブで大騒ぎする場面。そして警官隊の皆さん全員参加で送る一大ミュージカル・シーン。これを私は“映画における「がきデカ」現象”と勝手に呼んでいる。実写でこれを可能にしたとなると、もはや映画では描けないものはない(金さえあればの話だが)と言い切れるのではなかろうか。

 ジム・キャリーの個人芸はフツーの映画でやるとアクが強くて日本人向けではないが、こういう設定では何をやろうともすべて許されてしまう。そして主人公以上に目立っていたのが愛犬マイロ。ラッシーやベンジーも真っ青の映画史上最高のキャラクターだ。監督は「ブロブ」(88年)のチャールズ・ラッセル。

 あと面白かったのが劇中の女性の扱い。地味で冴えない銀行員の主人公に同僚が勧めるのが、やはり地味でマジメそうな女流ジャーナリスト。本当はハデなクラブ歌手のティナ(キャメロン・ディアス)が好きなのだが“やっぱり地道なキャラクターの自分にはおとなしそうな女がぴったりだ”と自分に言い聞かせて女流ジャーナリストと付き合ったら、こいつがとんだ食わせ者だったという・・・・。

 おとなしそうな女は感じがいいようでいて、反面何を考えているかわからないから気をつけた方がいいという作者の忠告(?)が伝わってきた。まー、私にも似たような経験があるし(えっ?)、なかなか切迫したメッセージを読み取れる映画でもある(^_^;)。

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