元・副会長のCinema Days

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「メルヴェの人生更新中!」

2024-02-25 06:09:31 | 映画の感想(ま行)
 (原題:MERVE KULT)2023年6月よりNetflixより配信されたラブコメ編。他愛のない話で、特に高く評価出来る箇所は見当たらない。しかしながら興味深いのは、製作国がトルコだという点だ。トルコ映画といえばユルマズ・ギュネイやヌリ・ビルゲ・ジェイランといった社会派の監督によるヘヴィな作品をまず思い浮かべてしまうが、当然のことながら娯楽方面に向いたライトな映画もあるわけで、本作のようなシャシンの存在を確認出来ただけでも有り難い。

 イスタンブールの下町に住む若い女メルヴェは今まで母親が所有するアパートの家賃収入を頼りに生きてきたが、そろそろ自分自身で人生を切り開きたいと思っていた。そんな折、母親の名義だと思っていたアパートは実は別居中の父親のもので、しかも借金が嵩んでいた父親は物件を売却していたことが発覚。メルヴェ母子をはじめとする住民たちは立ち退きを迫られ、彼女も早急に働き口を見つけなくてはならない。ファッションに興味を持っていたメルヴェは大手アパレルメーカーに飛び込みで求職し何とか採用されたが、そこの若社長アニールは訳ありの人物で、彼女は振り回されるハメになる。



 当初は衝突することが多かったメルヴェとアニールが、やがて互いを憎からず思うようになってくるのだろうと思っていると、実際その通りに展開する。メルヴェの両親の微妙な関係性やアニールの過去との確執などのネタも挿入されるのだが、それほど効果的ではない。アプリを作成して一儲けを企むメルヴェの仲間たちのエピソードに至っては、まさに取るに足らないレベル。

 それでも最後まで観ていられたのは、名所旧跡が一切出てこないイスタンブールの風情ある下町風景と、ヒロインが次々と披露する突飛でカラフルなファッションゆえだろう。ジェマル・アルパンの演出は取り立てて才気走ったところは無いが、登場人物が突然観客の側を向いて独白するシーンなどのギャグのセンスは認めて良い。上映時間を99分にまとめたのも的確だ。

 主演のアーセン・エロールは典型的なファニーフェイスで、登場するだけでお笑いの空気が充満してくる。相手役のオザン・ドルナイも優柔不断な二枚目を上手く演じている。ズハル・オルジャイにフェリト・アクトゥグ、エスラ・アッカヤといった他のキャストはもちろん馴染みは無いが、手堅い仕事ぶりだ。

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