元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ミス・シャンプー」

2024-02-16 06:08:57 | 映画の感想(ま行)

 (英題:MISS SHAMPOO)2023年12月よりNetflixから配信された台湾製の犯罪映画仕立てのラブコメ編。紹介映像は面白そうで、実際開巻20分程度は楽しめるのだが、あとは緩すぎる展開が続くばかりで大して盛り上がらないままエンドマークを迎える。クレジットをよく見ると、監督が日本版リメイクも製作された「あの頃、君を追いかけた」(2011年)のギデンズ・コーだ。あの映画は本国ではヒットしたらしいが、個人的には受け付けなかったことを思い出した。鑑賞前に気付くべきだったと反省するばかり。

 台北の下町にあるヘアサロンに、ある嵐の夜、ケガをしたヤクザ者の男タイが転がり込んでくる。謎の刺客にボスを殺され、自分も危うい状況になったタイは、追手から逃れるために近くにあったその店に飛び込んだのだ。美容師見習いのフェンに介抱されて一命を取り留めた彼は、彼女に惚れてしまう。すると後日、彼は子分どもを引き連れてサロンに通うようになり、フェンを口説き落とそうとするのだった。何となく良いムードになってくる2人だが、タイが仕切る組を完全に潰そうとする勢力は徐々に魔の手を伸ばしてくる。

 ごく普通の家庭で育ったフェンと、少年時代から極道の世界に身を置くタイ。そのギャップが興趣を呼ぶのは確かで、序盤はその関係性だけで笑いが取れる。しかし、タイがフェンに真剣な交際を迫ったり、敵対勢力の動向を描かなければならない中盤以降になってくると、気合の入らない凡庸なモチーフが積み上げられるだけで一向にドラマが進展しない。

 そもそもヘアサロンを舞台にしていながら、美容に関するウンチクがほとんど披露されないのは失当だろう。かといって、ヤクザの抗争劇が迫力あるわけではなく、アクション場面も見るべきものは無い。フェンが心酔するプロ野球選手に関するネタにしても、今ひとつ工夫が足りていない。ラストシーンに至っては“何じゃこりゃ”と言いたくなるレベルだ。

 それでもタイ役のダニエル・ホンは長編映画初出演とは思えない存在感を発揮しているし、フェンに扮するビビアン・ソンも「私の少女時代 OUR TIMES」(2015年)に続いてキュートな魅力を振りまいている。ただし、それ以外のキャストは弱体気味で、あまり印象に残らない。それにしても、エンドクレジット表示時の“悪ノリ”には苦笑した。やること自体は問題ないが、もっと上手くやって欲しかったというのが本音だ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「自転車泥棒」 | トップ | 「カラフルな魔女 角野栄子... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画の感想(ま行)」カテゴリの最新記事