元・副会長のCinema Days

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「BAD LANDS バッド・ランズ」

2023-10-28 06:08:03 | 映画の感想(英数)
 さっぱり面白くない。もとより原田眞人監督はアイドル方面(特に旧ジャニーズ界隈)とは相性が悪いことは承知している。しかし本作の実質的な主演は安藤サクラだし、原作は未読だが一応直木賞作家の黒川博行の手によるものだし、それほど酷い結果にはならないだろうと予想したが、甘かった。鑑賞後に気付いたのだが、製作者陣に“あの人”が名を連ねており、さもありなんという感じだ。

 大阪の西成地区に住む橋岡煉梨(通称ネリ)は、ボスの高城政司の下で特殊詐欺の片棒を担いでいた。ある日、血の繋がらない弟の矢代穣(通称ジョー)が出所してくる。彼は姉のために殺人に手を染め、長らく服役していたのだ。ネリはジョーのために仕事を世話しようとするが、そんな中、ジョーは入り込んだ賭場で数百万円の借金を作ってしまう。金策に奔走する姉弟だったが、成り行きで逆に数億円の大金を入手する資格を得る。ところが、金融機関から金を引き出すにはいくつものハードルを越えなければならない。しかも、カネの匂いを嗅ぎつけた悪党どもや警察が2人をマークするようになる。



 黒川博行の小説「勁草(けいそう)」の映画化。登場人物の大半が早口で喋りまくるのはこの監督の作品では御馴染だが、今回は大阪弁(らしきもの)が大々的にフィーチャーされているため、何を言っているのよく分からない。ストーリーラインはさらに混迷を極めており、求心力の欠片もない。

 振り込め詐欺を題材にしているので、その巧妙な手口が紹介されるのかと思ったらそうでもない。姉弟の過去の因縁がエモーショナルに展開されるのかと予想するも、サッと流すのみだ。だいたい、いまどき丁半博打が行われているスポットなんか存在しないだろうし(オンラインカジノならばまだ説得力はある)、高城のバックに控えている暗黒街の大物とやらの造形も“いつの時代の話だ”と突っ込みたくなるレベル。

 ネリとジョーの行状は少しもスリリングではなく、行き当たりばったりに暴れるだけ。それを追う警察の描写に至っては、手抜きも良いところだ。ラストの扱いは茶番の極みで、観る者をバカにしている。しかもこれが2時間20分を超える長尺なのだから閉口するしかない。

 安藤サクラは本作ではツッパリのねーちゃんの域を出ず、旧ジャニーズ所属の山田涼介は頑張ってはいるのだろうが、内面から崩れたようなヤバさが醸し出されることは無い。生瀬勝久に吉原光夫、大場泰正、江口のりこ、宇崎竜童といった顔ぶれもパッとせず、天童よしみの登場なんてギャグとしか思えない。それから岡田准一がゲスト扱いで出てくるのだが、どうも“あの人”に関係したキャスティングのようで、盛り下がるばかりだった。

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