元・副会長のCinema Days

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「Lift リフト」

2024-01-20 06:07:31 | 映画の感想(英数)

 (原題:LIFT)2024年1月からNetflixで配信。監督が「ワイルド・スピード ICE BREAK」(2017年)や「メン・イン・ブラック:インターナショナル」(2019年)などのF・ゲイリー・グレイなので、本作もライトな活劇編であることが予想されたが、実際観てもその通りである(笑)。過度な期待は禁物ながら、最初から割り切って接すれば退屈せずにエンドマークまで付き合える。配信で観るにはちょうど良い。

 世界を股に掛けて活動する大泥棒のサイラスが率いるチームは、美術品を奪い高値で取引をするという手口で荒稼ぎしていた。しかもこの犯行には作者にもキックバックが生じるため、結果として誰も損しないという巧妙なもの。そんな一味を追っているのがインターポールの女性捜査官アビーで、実は互いの素性を知る前にサイラスと恋仲だったことがある。

 あるとき、大物テロリストのヨルゲンセンと国際的ハッカー組織“リヴァイアサン”の取引のために大量の金塊が旅客機でロンドンからスイスに運ばれることを、アビーは上司のハクスリーから聞かされる。彼女はこれを阻止するためにサイラスの一味と共同し、途中で金塊を強奪することを持ち掛ける。

 ハッキリ言ってしまえば、本作は冒頭で展開されるヴェネツィアでの水上チェイスが一番盛り上がる。それに続いて始まるメインの金塊奪取の建て付けは、大したことはない。もっとも、サイラスたちが立てた計画は別のステルス航空機を利用する等、けっこう作り込まれていることは分かる。だが、リアルな物件(?)が疾走するヴェネツィアにおけるシークエンスに対し、大空でのスペクタクルはほとんどがCGだ。いくら奇想天外なシーンが繰り出されようと、所詮CGだという印象が拭えない。あと、チームのメンバー以外にも“別のスタッフ”が複数付いているという設定も、少し違う気がする。

 とはいえ、グレイ監督の仕事ぶりはスムーズで、最後のオチまで淀みなく観る者を引っ張ってくれる。主演のケヴィン・ハートは元々お笑い要員で、タフガイではないものの飄々とした雰囲気で犯罪ドラマをこなしている。相手役のググ・ンバータ=ローをはじめ、ヴィンセント・ドノフリオやウルスラ・コルベロ、ビリー・マグヌッセン、キム・ユンジ、サム・ワーシントン、そしてジャン・レノと、けっこう役者は揃っている。

 あと印象的だったのが、サイラスたちが序盤でターゲットにしているNFTアート(非代替性トークンの技術を活用したデジタル作品)で、最近はこういうものが出回っていることは聞いてはいたが、映画のネタとして取り上げられた例を初めて見た。今後もスクリーン上で頻繁にお目に掛かるようになるのだろう。

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