元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「グランド・イリュージョン」

2013-11-18 06:44:53 | 映画の感想(か行)

 (原題:NOW YOU SEE ME)テンポの良い展開とキレのある演出により中盤までは快調に飛ばすのだが、ラストが腰砕け。これだけ大風呂敷を広げたのだから、もっと観る者をアッと言わせるような仕掛けを用意して欲しかった。

 凄腕マジシャン4人からなるイリュージョニスト・グループ“フォー・ホースメン”は、ラスベガスのショーの真っ最中に遠く離れたパリの銀行の金庫に忍び込み、大金を奪うという離れ業を見せる。続くニューオーリンズの公演では、私腹を肥やす大手保険会社の社長から金をくすね取り、本来保険金を受け取るべき人々に分配して喝采を浴びる。

 FBI捜査官のディランと、インターポールから派遣されたフランス人エージェントのアルマは彼らを追うが、シッポを掴むことさえ出来ない。やがて“フォー・ホースメン”は、ニューヨークで最後のステージを敢行すると宣言。当局側とのバトルはクライマックスを迎える。

 4人のイリュージョニストはそれぞれに得意技を持ち、またキャラも立っている。対する捜査陣の面々も良く描けていて、警察内部のしがらみに悩みながらもガムシャラに犯人を追う様子が無理なく示される。さらに、マジックの種明かしを生業にしているというサディアスとその一味も絡み、事態は三つ巴の様相を呈してくる。

 ルイ・レテリエ監督の仕事ぶりは実に歯切れが良く、ケレン味たっぷりのカメラワークを“やり過ぎ”一歩手前で踏み止め、アクション場面は存分に盛り上げる。特にディランと“フォー・ホースメン”の一人がアパート内で組んずほぐれつの格闘を展開し、さらにカーチェイスに雪崩れ込んでいくあたりは、手に汗を握らされた。またサディアスによって明かされる犯人の手口の数々も、思わず“なるほどっ”と膝を打ちたくなる。

 ところが、終盤で“フォー・ホースメン”の目的とその“黒幕”が紹介されるくだりになると、映画的興趣は一気に後退する。彼らはこんなマイナーすぎる理由に荷担するために、派手な犯罪行為を展開していたのかと思うと、脱力するしかない。その程度の動機ならば、もっと違う手っ取り早い方法があるようにも感じるのだが、作者は意に介さないらしい。余計なエピローグにも溜息が出る。

 ジェシー・アイゼンバーグ、マーク・ラファロ、モーガン・フリーマン、ウディ・ハレルソン、マイケル・ケイン、メラニー・ロランとキャストは多彩。各々に見せ場もある。それだけに、脚本の練り上げ不足が気になる。なお“フォー・ホースメン”のメンバーの一人に扮するデイヴ・フランコはジェームズ・フランコの弟らしい。兄に似て、こちらも面構えは良い。今後の活躍が期待出来る。

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