元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

Sonus faberの新作スピーカーを試聴した。

2012-11-21 06:48:06 | プア・オーディオへの招待
 イタリアのスピーカーメーカーSonus faber(ソナス・ファベール)の新作Venere1.5Venere2.5を試聴することが出来た。Sonus faberは80年に発足し、工芸品のような美しいデザインと肉感的で艶やかなサウンドにより多くのマニアの支持を集めてきた。私も何回かオーディオフェアなどで実機に触れてみたが、その美音には感心したものだ。

 この新型2機種は高級品が主流の同ブランドにしては珍しく、Venere1.5が15万円強、Venere2.5が35万円強と価格を抑えている。製造を中国で行っているためなのだろうが、いずれにしてもSonus faberにとっては“世界戦略モデル”であることは間違いないであろう。外見はこのメーカー独自の木工技術をフィーチャーしたものではなく、コスト削減のため樹脂製の筐体が採用されているが、デザイン自体は他社とは一線を画す美意識に貫かれている。



 なお、使われていたアンプとCDプレーヤーはデンマークの新進メーカーGATO AUDIOの製品だ。初めて聞くブランドだが、ディーラーのスタッフの話によると音に強い色付けをせずストレートに出してくるモデルのようで、スピーカーのキャラクターを見極めるには適しているとのことだ。

 実際に聴いてみてこの2機種に共通しているのは、繊細な美音調との定評があるこのブランドにしてはアキュレートな展開で、スピード感もあるということだ。これならば幅広いジャンルをこなすだろう。とはいえ弦楽器やヴォーカルの温度感は、このブランドらしい艶やかな美しさをキープしていて、以前からのファンを見捨てるようなことはしていないようだ。



 しかし、コンパクト型のVenere1.5はサイズが小さいこともありスケール感は不足。ウーファーなんかほとんど動いていないのではないかと思うほど、低域が出ていない。そのせいか音場感は乏しく、特に奥行き感の再現には厳しいものがある。加えて指向性がシビアで、リスニングポイントが限定される可能性がある。さらには専用スタンド(置き台)を併用しないと真価を発揮しないとのことで、とても無条件で奨められるような製品ではない。

 対してフロアスタンディング型のVenere2.5は実に良い。筐体の大きさも相まって低域の再現性と音場の展開(特に縦方向)は万全。中高域は透明感があり本当に美しい。指向性もVenere1.5ほど厳しくはなく、セッティングは楽だ。まさに“音よし、デザインよし、使い勝手よし”の三拍子そろった逸品かと思う。ペアで35万円強の商品だが、このパフォーマンスとデザインを勘案すると、これはバーゲン価格だと言って良い。中国の工場で作られたことがどうしても我慢ならないリスナーを除けば(笑)、幅広く奨められる。

 それと、今回初めて接したGATO AUDIOの製品は外観がとても面白い。特に前面ディスプレイの表示なんか、日本のメーカーにはちょっとマネの出来ない仕上がりだ。結構なお値段だが、所有満足度は高いと思われる。
コメント
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