元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「プロメテウス」

2012-11-02 06:45:23 | 映画の感想(は行)

 (原題:PROMETHEUS)リドリー・スコット監督作では最低の映画である。よくもまあ、こんなくだらない企画が通ったものだ。映画会社の幹部はいったい何をやっていたのだろうか。あの「エイリアン」の前日譚だからヒット間違い無しとでも思ったか。いくら人気シリーズの関連作だろうと、出来が悪ければどうしようもないのだ。

 2093年、考古学者エリザベスら17名のクルーは、宇宙船プロメテウス号に乗って“人類の起源”とやらを解明するために未知の惑星を目指す。だが、このミッションの背景がまったく描かれていない。世界各地の古代遺跡から同じような構図の壁画が出てきたからといって、どうしてそれが“人類の起源”に繋がるのか不明。さらに言えば、それらのどの部分が特定の天体を指し示しているのかも分からない。そもそも、壁画が宇宙座標みたいなものであることに関しての説明もない。

 長い人工冬眠の末にやっと目的の惑星にたどり着いた一行だが、当初はこの星の大気が人間の生存に適していないことが示されるものの、ナゾの建造物の中に入ったら“空気の成分は地球と同じだ”とばかりに皆安直にヘルメットを外してしまうのには愕然とした。未知のウイルスか何かが存在する可能性に思い当たらないらしい。

 嵐が迫ってきたので慌てて宇宙船に戻る彼らだが、その前に怖じ気づいて戦線離脱した2人は建物の中でなぜか道に迷っている・・・・というあたりで、私は観る気を無くした。こんなドラマツルギー不在の与太話に付き合ってはいられない。

 後の展開は推して知るべし・・・・と思っていたら、果たしてそれからは、いちいち指摘するのが面倒になるほどの支離滅裂な描写の連続。バカバカしいにも程がある。この映画の“種明かし”を知りたかったら次回作を観ろと言わんばかりの幕切れにも、不快感しか覚えない。

 出ている連中も一人として印象に残るヤツはおらず、特にヒロイン役のノオミ・ラパスは不細工そのもので、大いに気分を害した。シャーリーズ・セロンも顔を出しているのだが、彼女を活かすような御膳立ても無し。マルク・ストライテンフェルトの音楽、ダリウス・ウォルスキーの撮影、いずれも特筆すべきものはない。

 それにしても、この映画の時代設定は「エイリアン」よりも随分と前のはずだが、メカの“新品度”(?)は「エイリアン」よりも上であるのには苦笑してしまった。
コメント
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