元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

MARANTZのプリメインアンプを試聴した。

2012-11-23 06:58:46 | プア・オーディオへの招待
 MARANTZのプリメインアンプPM-11S3とCDプレーヤーのSA-11S3の試聴会に足を運んでみた。MARANTZは元々は1953年に創設されたアメリカのメーカーだったが、それから紆余曲折があり、今では日本のブランドになっている。DENONと同じ資本系列に属し、多くの製品をリリースしている。

 PM-11S3とSA-11S3は両機とも4,50万円ほどだから“無茶苦茶に高い”というわけではないが、一応はMARANTZのハイエンドモデルである。繋げるスピーカーは同社が輸入代理店を担当している英国B&W社の805Dだ。それほど強いクセのあるスピーカーではないので、アンプ類の素性を見極めるのは適当だろう。



 ひとことで言えば、このMARANTZのアンプ類はかなりの美音である。ヴォーカルも弦楽器も艶があり柔らかく響く。広い音場には濁りがなく、特定帯域での強調感も見当たらない。MARANTZの下位の機種は不自然なキツさや密度の薄さが時折感じられることがあるが、PM-11S3とSA-11S3にはそれがない。解像度や情報量は万全で、レンジも大きく確保している。ちなみに、一つ下のPM-13S3と聴き比べたが、クォリティ面では値段相応の差がある。

 ただし、パワフルに鳴らしたいユーザーには不向きだ。ロック系のソースも試してみたが、かなり上品な展開になってしまった(笑)。これはこれで楽しめるのだが、俗に言う“黒っぽい”テイストを求めるリスナーには適していない。

 それと、MARANTZのアンプはB&Wのスピーカーとは相性は良いが、他のメーカーのスピーカーとのマッチングはどうなのか、これは聴いてみないと分からないだろう。少なくともPIONEERONKYOのアンプよりも、繋ぐスピーカーを選ぶタイプだと思う。



 また、気になったのがPM-11S3の外観だ。筐体が大きすぎると感じる。その点をメーカーの担当者に聞いてみたところ、当初はもっとスリムなサイズに仕上げる予定だったらしい。ところが先の震災で工場が被害を受け、やむなく前機種のキャビネットを流用したとのことだ。

 加えて個人的に気になるところだが、同社のデザインはとても“優れている”とは言えない。奇を衒っているだけで、美しくもない。思えば、MARANTZがアメリカのメーカーだった頃のアンプのデザインは良かった。あれを復刻してもいいのではないだろうか(意匠権の問題があって無理かもしれないが ^^;)。

 PM-11S3の前面に付いている主なツマミはヴォリュームと入力切り替えだが、いずれもプラスティック製というのはいかがなものか。決して安くはないモデルなのだから、アルミ無垢にして高級感を出して欲しかった。

 ・・・・いろいろと書いてきたが、サウンド面ではPM-11S3とSA-11S3は上質なモデルである。ハッキリ言って、今のところ私が同社のアンプ類で評価できるのはこの2機種だけである。ストレスフリーでしなやかな美音を楽しみたいユーザーには、有力な選択肢になるだろう。
コメント
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