元・副会長のCinema Days

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LUXMANの新型アンプを試聴した。

2012-07-15 06:40:43 | プア・オーディオへの招待
 国内における老舗のオーディオメーカーのひとつであるLUXMAN社の新型プリメインアンプ、L-305を試聴することが出来たのでリポートしたい。

 LUXMANの創業は古く、1925年にラジオやオーディオアンプ、及びそれらの部品の製造販売を開始していた。61年からステレオ用プリメインアンプを取り扱うようになり、以来高級アンプのブランドとしてはACCUPHASEと並ぶ知名度を誇る。

 いわゆる“ラックストーン”と呼ばれる温度感のあるソフトな感触を身上としてきたが、近年はアキュレートな方向に舵を切り、ニュートラルな持ち味でリファレンス的な位置付けが成されているようだ。しかし往年のファンからの要望も無視できず、昔ながら“ラックストーン”の復刻を目指したのが2008年に発表されたSQ-38uや2011年にリリースされた真空管式のセパレートアンプCL-38uMQ-88uであり、このL-305はその路線を受け継ぐものだ。



 試聴に使用した機器は、CDプレーヤーは同社のD-38u、スピーカーは米国JBL社の製品が使われていた。

 一聴して、これはとても良い製品であることが分かる。高解像度やワイドレンジを目指したものではない。限られた帯域の中で、心地良いサウンドを提供することに専念しているような音作りだ。とにかく音像の仕上がり具合に温かみがあり、柔らかい。音場の展開も自然そのもので、いくら聴いても疲れないのだ。

 とはいえ、決して“ボケた音”ではない。情報量は確保され、細かい音もよく拾う。でも決してそれを強調することはなく、ナチュラルでソフトな感触を終始キープする。

 同社のSACDプレーヤーのD-08にも繋いで音を出してみたが、アキュレート路線のD-08とは合わない。やはり“ラックストーン”を踏襲しているD-38uと相性が良い。駆動するスピーカーもB&WとかFOSTEXのような高精細を売り物にしたブランドとはアンマッチだと思う。JBLやTANNOYHARBETHSPENDORといったヴィンテージな味わいを残した古くからのメーカーの製品が合いそうである。



 なお、L-305はL-509AXL-550AXといった同社の最近のアキュレートを前面に出した製品とは、設計者が違うらしい。L-509AX等は社内のエンジニアリング担当セクションが合議制で音決めをしているのに対し、L-305は社長自ら開発を手掛けているとか。なるほど、この音作りには“エンジニア自身が聴きたいサウンド”が表現されていると言える。まさに“作った者の顔が見える製品”であり、こういうモデルが聴いて楽しいのだ。

 L-305は繋ぐスピーカーは選ぶが、独自の魅力を持つ製品であることは確かだ。値段は30万円程度なので、無茶苦茶に高いというわけでもない。正直言って欲しくなったが、これを導入するとスピーカーもCDプレーヤーも総入れ替えしなければならないだろう。そのあたりが実に悩ましい(笑)。
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