元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「殺し屋1」

2012-07-02 06:26:24 | 映画の感想(か行)
 2001年作品。歌舞伎町を舞台に、ヤクザ壊滅を狙う謎のジジイと暴力団員との血で血を洗う死闘を描く、山本英夫によるコミックの映画化。監督は三池崇史だが、作品ごとに出来不出来の差が激しい彼の“出来の良い方”の体表作だ。

 舞台設定や個々の登場人物がリアリズムを交えて掘り下げられているらしい原作(私は未読)とは違い、外道の誉れ高い三池崇史監督は映画化に当たってはマジメな部分を限りなくゼロに近づけている。



 とにかくワケのわからん連中が次々と出てきて理由もなく殺し合い、全編血しぶきとモツとタンと天ぷら(?)が画面を跳梁跋扈する“お祭り映画”を徹底したブラックユーモアの味付けでデッチ上げるというこの手口。実に思い切りが良くて潔い。

 すでに人間を超越した“ピアスのマー坊”をはじめキャラクターも粒ぞろいで、特に謎のジジイが諸肌脱ぐシーンは大爆笑。ラストが釈然としないのはマイナスだけど、血みどろの割に後味は非常にサワヤカである。

 手の付けられない殺人マシーンのイチを演じる大森南朋をはじめ、ジジイ役の塚本晋也、マー坊に扮する浅野忠信、派手なやられ方をする寺島進など、キャストも皆快調。血糊の量がとてつもなく多いので誰にでも奨められるシャシンではないが、オフビートのスプラッタ・コメディが受け入れられる映画ファンならば、楽しめること請け合いである。
コメント
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