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元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「アメイジング・スパイダーマン」

2012-07-21 06:49:48 | 映画の感想(あ行)

 (原題:THE AMAZING SPIDER-MAN)以前のサム・ライミ監督によるシリーズと比べたら、こちらの方がずっと面白い。それは作者の“オタク度”の違いに起因していると思う。

 今から考えればトビー・マグワイア扮するライミ監督版の主人公は、オタクっぽくて性格も明るいとは言い難く(変身時以外は)身体のキレも悪かった。イマイチ冴えない奴がひょんなことからスーパー・パワーを得て活躍するという、いわばオタク野郎の願望を満たした時点で自己満足しているようなシャシンで、肝心の作劇は充実していたとは言い難い。

 対して装いを新たにした本作のピーター・パーカーは、ごく平凡な高校生だ。取り立てて秀でた点はないが、成績は悪くなくスポーツだって一通りこなす。極端にオタク的な趣味も持たない。こういう“フツーの奴がイレギュラーな事態に突入する”という設定は、有り体に言えば“無理がない”のである。

 普遍性が高く、その後の展開もフリーハンドで行える余地が大きくなる。オタク趣味に足を引っ張られる懸念も無い(笑)。そのせいか、作品の雰囲気は明るい(注:単なる脳天気とは違う ^^;)。ピーターの両親の失踪の原因は分からず、優しい伯父さんが非業の最期を遂げるなど、結構屈託が多いものの、自前のコスチュームをいそいそと作ったり熱血スポーツ路線みたいな特訓に勤しんだりと、あくまで前向きだ。演じるアンドリュー・ガーフィールドのタイトでスポーティな出で立ちは、作品のカラーにマッチしている。

 「(500)日のサマー」で知られるマーク・ウェブの演出は若者恋愛事情の扱いが巧みで、ヒロインのグウェンとの絡みも手慣れたものである。グウェン役のエマ・ストーンは、女優の趣味が最悪であるライミ版のキルスティン・ダンストとは比べものにならないほど魅力的。敵役のリース・イーバンズもこれまた“フツーの奴がイレギュラーな事態に突入する”シチュエーションをうまく表現した妙演である。マーティン・シーンやサリー・フィールドらベテラン陣が脇を固めているのも嬉しい。

 私は偏光メガネの長時間着用が苦手なので3D版では観ていないが、アクション場面はよく練られていると言える。ただ、怪人リザードの暴れぶりがハリウッド版「ゴジラ」と似ているように感じるのは御愛敬か(笑)。いくつかのモチーフが未解決のままで終わるのは次回作を待てという意味だろうが、ヒットしているのでパート2も作られるだろう。このペースでシリーズを重ねてほしいものだ。
コメント
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