(原題:Le Fabuleux destin d'Amelie Poulain )2001年作品。好奇心旺盛だが内気で自分の心情を表に出せないヒロインの、奇妙な恋のさや当てを描く。本国フランスでは大ヒットし、公開当時は我が国でも随分と話題になったものだ。
自分の殻に閉じこもっていた主人公が何かのきっかけで外部に向かってブレイクアウトしてゆく話・・・・などという古今東西掃いて捨てるほど撮られてきたネタを今さら扱うにはよほどの創意工夫が必要だが、そこはジャン=ピエール・ジュネ監督、エクステリアには抜かりがない。
キュートな意匠をCGやデジタル処理を使って表現し、現実のパリをノスタルジィと情緒あふれるファンタスティックな異世界に作り変えている。そして何といっても、これが出世作になった主役のオドレイ・トトゥの存在感だ。
びっくりするほど大きな瞳と華奢な体つき(そして巨乳 ^^;)、生々しさを排除した透明なキャラクターの創造は、ヒロインが仕掛ける“悪戯”に代表されるような彼女の身勝手な善意の押しつけを巧みに中和し、観客に共感を覚えさせる次元にまで昇華させている。
もともとこの役はエミリー・ワトソンで想定されていたらしいが、ワトソンが主演していたら冗談がキツ過ぎて笑えない映画になっていたことだろう(爆)。ヤン・ティルセンによる音楽やブリュノ・デルボネルの撮影も良く、何度でも観たくなる作品である。