元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「閉ざされた森」

2009-09-15 06:17:25 | 映画の感想(た行)
 (原題:Basic )2003年作品。パナマの森林地帯で訓練中の米陸軍レンジャー部隊行方不明事件にまつわるミステリーを描くジョン・マクティアナン監督作品。ひとつの事件について関係者の証言がまったく異なっていくというシチュエーションは黒澤明の「羅生門」と同じだが、今回は現場が山の中で、しかも土砂降りの雨という設定も「羅生門」と共通で、バックに流れるのが「ボレロ」なのだから、これは相当に「羅生門」を意識した作りだ。パクリと言ってもいい。

 ただし、出来映えにはかなりの差がある。第一に、キャラクター設定が未消化だ。レンジャー部隊の人数が多すぎる上に、当然ながら皆同じ服を着ているため容易に見分けが付かず、そのため各証言が他とどのように違うのかハッキリしない。少なくとも、もっと名の知れた俳優を多く起用して観客にも人物関係を分かりやすく説明するべきではなかったか。

 “探偵役”として登場するのがジョン・トラボルタというのも胡散臭いが、一癖ありそうに見えてラスト近くには“やっぱり”と思わせて実は・・・・といったオチも、何やら“ドンデン返しのためのドンデン返し”とも思えて、どうも釈然としない。麻薬にまつわるエピソードも取って付けたようだ。

 とはいえ、マクティアナン作品にしてはマシな部類に入るし、上映時間も犯罪的に長くないので、観賞後はそう気分が悪くなることはなかった。ビデオで細部を何度も確認しながら見る方がピッタリくるような映画だと思う。
コメント
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