goo blog サービス終了のお知らせ 

元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「バカヤロー!3 『へんな奴ら』」

2009-03-10 06:29:56 | 映画の感想(は行)
 90年松竹作品。普段おとなしい人間が切羽詰まって「バカヤロー!」と叫び出すまでのシチュエーションを描く、森田芳光が監修したオムニバス映画「バカヤロー!」シリーズは88年に始まり、全部で4本ぐらい作られているのだろうか。そのうち私が観たのは3本だが、この三作目が一番面白くない。

 第一話「こんなに混んでどうなるの?」は平田満扮する気弱な主人公が高速道路の大渋滞に巻き込まれ、同乗している妻子からはさんざん文句を言われるし、おまけにトイレがガマンできなくなって・・・・・、という一編。ふんだりけったりの展開だが、こういう優柔不断のくせにいっちょまえに理屈ばっかりこねる男はどうも共感できないなあ。週末に渋滞になることがわかっているなら、最初からクルマで出かけなければいいのに、と思ってしまった。

 次、「過ぎた甘えは許さない」は清水美砂演じるショーガールの家に子連れで出戻りの姉が転がり込んでくる。いいかげんで甘ったれの姉に扮する松本伊代の演技が面白い(ひょっとしてこれが地?)が、何やら周りのキャラクターが必要以上にマンガチックで愉快になれない。ラストの処理も弱いなあ。

 第三話は飛ばして第四話「クリスマスなんて大嫌い」は昔ながらの下町の商店街の若い息子・娘たちが“クリスマスに家の手伝いなんてまっぴらだ”とばかり、めいっぱいおしゃれしてイブの晩に盛り場に繰り出すが、やっぱり育ちが災いして無残な結果を招く・・・・・、という展開だが、今どきこういう古くさいストーリーを臆面もなくやってしまう作者の神経にあきれた。ラストもなんかオチをつけたつもりだろうが、一抹のわびしさを覚えたのは私一人だろうか。

 で、第三話「会社をナメるな」は4話の中では一番マシだ。監督は黒田秀樹。そう、昔あの「三共リゲイン」のコマーシャルを撮ったディレクターだ。次々と会社を辞めていく部下にてこずる課長(中村雅俊)の悲哀を描いていくが、映像がモロ「リゲイン」のCMそのものだ。冒頭“私、他社からヘッドハンティングされましたので辞めます”(このセリフ、いつかは私も言ってみたい。えっ、やっぱりムリだって? ^^;)と言い放つ部下にはちゃんと時任三郎が扮している。課長のオゴリで熱海の温泉に課全員で繰り出し、和気合い合いの宴会の翌日には“課長に無理矢理酒を飲まされて二日酔いで仕事にならん”とダダをこねる若い社員の勝手さは私にもよーっくわかる(爆)。しかし、この話にしたって“ま、目先が変わってちょっとは面白いかな”という程度でこの調子で2時間の本編を撮っても、保たないだろう。

 全体として3作目ともなるとネタ切れの感が強いと思ったものだ。しかし、今から考えると「Jam Films」とか「TOKYO!」といった昨今のオムニバス映画よりはコンセプトはシッカリしていたとも感じる。現時点でシナリオを練り直して作ってみたら、けっこう面白いものができるかもしれない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする