代表作「夜間飛行」と同じ文庫本に収められているサン=テグジュペリの処女作だ。職務遂行に命を賭ける航空会社の支配人や風雨と格闘する飛行士らの生き様をハードボイルドタッチで描いた「夜間飛行」よりも、操縦士個人の苦悩を繊細な筆致で綴ったこの作品の方が数段好きである。
物語の視点が主要登場人物たちの間で交錯し、しかも時制をバラバラにしているために、かなり読むのに難儀する小説だ。しかし、比喩的な表現の中に語られる主人公の高潔な精神と友情の深さを読み取る時、切ない感動が湧き上がってくる。飛行シーンの描写も見事。
堀口大學による格調高い翻訳は、たぶん原文の流麗なタッチを、ニュアンスを損なうことなく日本語に置き換えることに成功しているのだろう。その文体は溜め息が出るほど美しく、まるで宝石のようだ。
物語の視点が主要登場人物たちの間で交錯し、しかも時制をバラバラにしているために、かなり読むのに難儀する小説だ。しかし、比喩的な表現の中に語られる主人公の高潔な精神と友情の深さを読み取る時、切ない感動が湧き上がってくる。飛行シーンの描写も見事。
堀口大學による格調高い翻訳は、たぶん原文の流麗なタッチを、ニュアンスを損なうことなく日本語に置き換えることに成功しているのだろう。その文体は溜め息が出るほど美しく、まるで宝石のようだ。