元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ロケッティア」

2009-03-06 06:30:09 | 映画の感想(ら行)
 (原題:Rocketeer )91年作品。80年代に世に出た人気コミックの映画化で、監督は「ミクロキッズ」や「遠い空の向こうに」などのジョー・ジョンストン。1930年代のハリウッドを舞台にナチスの手先と戦う空飛ぶヒーロー、ロケッティアの活躍を描く。

 映画の中盤の、飛行機スタントの途中で気を失った仲間を助けるため、ロケッティアが初めて群衆の前に姿をあらわすシーンが気に入った。一番SFXがうまくいっているシークエンスで、スコーンと晴れた大空を自由自在に飛び回るスリルと爽快感が、カメラを主人公の目の位置に持って来る画面作りによって、観客にダイレクトに伝わって来る。そのあとのナイトクラブでの乱闘場面や、クライマックスの飛行船上での炎上シーンなども盛り上げようとしているのだが、やっぱり中盤のこの場面には及ばない。

 この美しい青空は、当時ハリウッドで作られていた西部劇の、あのどこまでも青い空と通じるものがあると思う。舞台をハリウッドに持ってきたのは、古き良きアメリカ映画の明るいタッチを再現しようとしている、作者のレトロ趣味があるからに違いない。やはり空飛ぶヒーローであるスーパーマンは都会のスモッグで汚れた空を飛ぶことが多かったし、バットマンに至っては(自分では飛ばないが)天気の悪い夜中だけを選んで活躍していた。それらに比べると、このロケッティアはアメリカ映画らしい明るい正義の味方だと言える。

 主役のビル・キャンベルは当時テレビ出身の若手で、屈折感のまるでないキャラクターはこの映画にぴったりだ。敵方のボスのティモシー・ダルトンは「007」シリーズよりこっちの方がいいのではないかと思うほどキザったらしい役にはまっていたし、ヒロイン役のジェニファー・コネリーの、思いもかけないグラマーさには驚いた(笑)。ラストの処理は続編製作への色気が見られたが、現時点においても二作目以降の話は聞かない。残念なことだ。
コメント
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