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元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「アビス」

2007-10-08 19:42:01 | 映画の感想(あ行)
 (原題:The Abyss)89年作品。最近ほとんど消息を聞かなくなったジェームズ・キャメロン監督が「エイリアン2」等の勢いに乗って作った巨額の製作費を投入して描く深海アクション編である。謎の物体を追ううちに遭難してしまったアメリカの原子力潜水艦モンタナ号を救出するため現場に向かった深海調査施設「ディープ・コア」のスタッフが遭遇した想像を絶する事実とは何か・・・・とかいう話だ。

 まずSFXの見事さに圧倒される。いちおう舞台は近未来ということになっているのだが、いま現在世界のどこかでこんな事件が起こっているのではないかと錯覚させてしまうぐらいリアリティにあふれるセットと撮影である。また、原潜が座礁する冒頭からイッキに観客を引きずりこみ、それから2時間20分画面にくぎづけにするキャメロンの演出もノリにノッている。よくもまあ、次から次へと危機一髪の場面をこれだけ考えつくものだとあきれてしまうアクション・シーンのつるべ打ち。この点だけを考えると十分観て損はない映画といえる。少なくとも「リバイアサン」とか「ザ・デプス」とかいった同じ題材の作品よりはるかに見応えがあるといえよう。

 しかし、しかしである。観終わってみればどういうわけか「2001年宇宙の旅」と「未知との遭遇」をミックスしたような胡散臭い作品という印象しか残らない映画でもある。たしかにアクション満載ではあるのだが、「エイリアン2」ほど興奮しないのは相手が主人公たちの手に負えないほど巨大な存在であるからかもしれない。そいつが正体を現わすラスト・シーンなど大いにシラケたのも事実だ。

 それより面白かったのが「ディープ・コア」のスタッフを抹殺してでも機密を死守しようとする軍関係者と主人公たちとの戦いで、小型潜水艇同士の空中戦(?)も迫力満点。やっぱりこの監督は“野郎、てめえ、ぶっとばすぞぉぉぉ!”といった路線が一番いいと思う。
コメント
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