元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「プラネット・テラー in グラインドハウス」

2007-10-07 07:24:59 | 映画の感想(は行)

 (原題:Planet Terror)いわゆる“ゾンビもの”としては、ピーター・ジャクソン監督の「ブレインデッド」と並ぶお笑い路線の快作である。前に公開された「デス・プルーフ in グラインドハウス」(クエンティン・タランティーノ監督)に続く、胡散臭げなレトロ風B級活劇の第二弾だが、演出テンポの良さと出し惜しみしない見せ場の連続により、面白さが分かりやすいのは「デス・プルーフ」よりも本作の方だ。

 監督はタラン氏と仲が良いロバート・ロドリゲス。ゾンビの扱いは「フロム・ダスク・ティル・ドーン」(正確にはあれはゾンビではなくヴァンパイアだったが ^^;)の後半部分で見せたように、実に手慣れたもの。ゾンビどもの出現の仕方から、どこをどうするとエグい描写になるか、何をやれば観客は喜ぶか、そういうことを完全に熟知したようなハデな場面の続出で、まったく飽きさせない。

 テキサスの田舎町を舞台に、米陸軍の隊長(ブルース・ウィリス)らが保有していた生物兵器のアウトブレイクによりゾンビが大発生・・・・という設定はどうでもいい(笑)。面白いのは、ゾンビの群れを蹴散らして疾走する主人公達のキャラの立ち具合だ。一見普通のアンチャン風だがイザとなるとやたら強さを発揮する札付きの前科者やら、見るからにマズそうなバーベキューを世界最高だと信じて疑わない食堂のオヤジやら、ガーターベルトにはさんだ多彩な麻酔薬の入った注射器を武器にする女医やら、男のキン○マを収集しているキ○ガイ科学者やら、どいつもこいつも実に濃くて良い。極めつけは、右足をゾンビに食いちぎられ、義足の替わりにマシンガンを突っ込んでいるゴーゴーダンサーのヒロイン(ローズ・マッゴーワン)である。身体の柔らかさを利用して、あらゆるポーズで撃ちまくるカッコよさは感涙ものだ(爆)。

 「デス・プルーフ」と同様フィルムに傷が付いたような画面処理とぶっきらぼうなカッティングは昔の場末の映画館でかかっているアクション作品の雰囲気を良く出しているし、主人公とヒロインのラヴシーンではそれを最大限に利用した“効果的な編集”がなされていて大笑いした。本編に入る前にデッチあげの“予告編”が流れるあたりも楽しい。

 本作は相当スプラッタ度が高く、ホラーに慣れていない“カタギの観客(謎 ^^;)”にとってはドン引きだろうが、こういう映画の正しい鑑賞方法を知っているコアな映画ファンにとっては、まさに必見の一作である。
コメント
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