元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「豚が飛ぶとき」

2007-10-29 06:43:42 | 映画の感想(は行)
 (原題:When Pigs Fly )93年作品。豚が飛ぶのだから、ひょっとして「紅の豚」の姉妹編かと思ったアナタは残念でした(そんな勘違いする奴はいねーよ)。原題の直訳で“ありえないこと”“びっくりすること”という意味らしい。

 ハンブルグに住むしがないジャズ・ミュージシャン(アルフレッド・モリーナ)が、古びた安楽椅子を引き取ったことからその椅子に取り付いていた女性2人の幽霊の世話(?)をするハメになる。そのうちの一人(マリアンヌ・フェイスフル)は近くのキャバレーの横暴な店主(シーモア・カッセル)の元夫人らしく、虐待のあげく殺されたことがわかる。主人公は知り合いのキャバレー・ガール(マギー・オニール)と一緒に、この幽霊の願いをかなえようと奔走するのだが・・・・。

 ニューヨーク・インディーズの中心的人物であったジム・ジャームッシュのプロデューサーを務めてきたサラ・ドライヴァーの監督作だが、これだけ面白くないアメリカ映画も珍しい。こういう設定だと、SFXバリバリでコメディにするか、ホラー映画として処理するかのどっちかだが、ドライヴァーは社会の底辺を生きる人々のペーソスを滲ませたハートウォーミングなドラマに仕上げようとしている。その意図はいいのだ。意図だけは。

 しかし、致命的なことに、この監督は演出が思いっきり下手である。俳優の動かし方がなってないし、シークェンスのつなぎがぎこちないし、特撮はメチャクチャ下手だし(わざと下手っぽくやったらしいけど)、話の展開がえらくノロいし、意味不明のショットがえらく目立つし、反面、ストーリーは意外性の全くない予定調和だったりする。はっきり言って学生の自主映画並みだ(といったら自主映画の作者に叱られるだろうけど)。途中から眠くなってしまったぞ。仲間同士の同好会ノリで楽しむにはいいかもしれないが、入場料取って見せるシロモノではない。

 下町のゴミゴミした雰囲気、ロビー・ミュラーのカメラ、久々登場のフェイスフル、そしてジョー・ストラマーの音楽は捨て難いのだけどね。
コメント
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