元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

最近購入したCD(その11)。

2007-10-27 07:50:39 | 音楽ネタ
 最近買ったディスクを紹介します。今回は日本人ミュージシャンによる3枚。まずは国内ジャズ界の“黒幕(?)”と呼ばれているらしい寺島靖国が責任監修の「アローン・トゥゲザー」。演奏はドラマーの松尾明を軸にピアノの寺村容子とベースの嶌田憲二が参加したトリオで、女性ヴォーカルのMayaとバストロンボーンの西田幹が1曲ずつゲストとしてプレイしている。



 「曲は哀愁、演奏はガッツ」というのがモットーの寺島らしく、泣きのメロディをフィーチャーしたスタンダード・ナンバー中心の楽曲をダイナミックなパフォーマンスで表現。多くのトラックが3~4分程度の短いやつで、一般ピープルがジャズに抱く“延々と続く、テクニックひけらかしのアドリブのプレイ(爆)”というイメージを覆す密度の濃いタイトな展開が実に印象的だ。そして録音。これが素晴らしい。少々マイクがドラムスに寄りすぎている感じで決してナチュラルなサウンドではないものの、ずば抜けた歯切れの良さでスリル満点。低音フェチのオーディオファンにとってはたまらない、聴いてワクワクするようなディスクだ。豪華なジャケットにも要注目。

 次は、手練れのセッション・ミュージシャンとして幅広く活動し、木住野佳子トリオのレギュラーメンバーとしても知られるドラマー市原康が率いる、その名もTRIO’(トリオ)なるユニットが2004年に発表した「WHAT ARE YOU DOING THE REST OF YOUR LIFE」。



 メンバーは市原のほか、ピアノの福田重男とベースの森泰人という中堅実力派が顔を揃える。同じドラマー中心の演奏とはいえ、前述のパワフルな松尾明トリオとは打って変わった叙情的でかつスケール感たっぷりの展開を見せる。特にドラムスとピアノとが交互に楽曲のリードを取るバラードでの、呼吸の巧みさにはタメ息が出るほどだ。とはいえ個々のサウンド自体には軟弱なところは微塵もなく、メリハリを付けた強靱なタッチがリリカルなメロディ運びをしっかりと支えている。曲も親しみやすいものばかりで、少しも難解な部分や高踏的なニュアンスはない。録音は力感よりも音場の見通しを重視。さらに高音の抜けは印象的で、ジャケットデザインの通り、清涼な空気がリスニングルームに漂う。ジャズファン以外にも奨めたいCDだ。

 最後は、ポップス系のシンガー井筒香奈江がジャズ畑のピアニスト藤澤由二とエレクトリック・ベース奏者の小川浩史と組んだグループ“LaidbacK”が2004年にリリースしたファーストアルバム「Little Wing」。実はこれ、購入したものではない。前にSOULNOTEのアンプを買ったことを書いたが、当ディスクはその“早期予約特典”として付いてきたものだ(笑)。



 メンバーにジャズメンが加わっているとはいえ、曲目はビートルズやシンディ・ローパーなどの誰でも知っているものを揃え、ジャズのタッチを極力抑えて、決して取っ付きにくいものではない・・・・ように一見思えるが、雰囲気としては実に異色。ヴォーカルのテンションの低さと冷温的な演奏が、部屋の照明度をワンランク下げる(爆)。暗く、深々とした空間が出現。奥行き感をよく出した絶妙の録音がそれに拍車を掛ける。かといって冗長ではなく、着実なビートが聴き手に迫ってくる。他の追随を許さない個性派そのものの展開だ。

 なお、先日開催されたオーディオショップ「吉田苑」のオフ会で井筒のヴォーカルに生で接することが出来たが、ディスクと同様のダウナーな雰囲気が圧倒的だった。その際にギターの伴奏を勤めたのがSOULNOTEのチーフ・エンジニアである鈴木哲。玄人はだしの腕前で唸らされたが、こういう音楽に一家言ある技術者だからこそ、血の通った音の出る機器を開発することができたのだろう。他の国内大手メーカーの製品を見れば、とても開発陣に音楽好きがいるとは思えない。
コメント
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