(原題:Miami Vice)TVシリーズ「特捜刑事マイアミ・バイス」は見たことがないので、元ネタと比べてどうだというコメントは書けないが、映画単体で捉えればそこそこ楽しめると思った。
いつもは鼻につくマイケル・マン監督作品特有の気取った雰囲気が、タイトかつ温度感の高い脚本により巧みに中和されている。少なくとも前作「コラテラル」のようなデタラメな話ではない。もちろん派手なドンパチ場面も満載。かなり残虐度が高いが、それに至る展開の“タメ”が効いているので嫌悪感よりもカタルシスが前に来る。
主役のマイアミ警察特捜課の潜入捜査官を演じるコリン・ファレルとジェイミー・フォックスもまあ悪くはない。同じマイアミ市警職員でも「バッド・ボーイズ」の二人とは大違いである(あたりまえだ ^^;)。
ただし困ったのがヒロイン役(?)のコン・リーだ。地元の中国映画に出ているときの彼女の存在感はかなりのものだが、アメリカ映画ではどうも分が悪い。ただの“謎の東洋人の女”である。コリン・ファレルとの絡みも“無理しているなー”という印象しか残らず、何より横顔がヒドい(脱力)。ここは素直に“中国四大女優”の中から適当に見繕うべきではなかったか。
音楽に関してはマン監督得意のジャズではなく、リンキン・パークをはじめとするロック系が多用されているが、あまり効果は上がっていない。TVシリーズではヤン・ハマーによるテーマ曲が売り物だったらしいが(私は聴いたことがない)、それを起用した方が良かったと思う。ただし音響は優秀。今後AV装置のデモ用として幅広く使われるかもしれない。