元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「“アイデンティティー”」

2006-10-24 06:41:52 | 映画の感想(あ行)
 (原題:IDENTITY)2003年作品。悪天候の中、電話も通じない僻地のモーテルに閉じ込められた人々が次々に死んでいくというスリラー篇。よくある設定の映画かと思ったら、途中から通常のサスペンス劇とは全く異なる展開になってゆく。

 「17歳のカルテ」のジェームズ・マンゴールド監督による異色のミステリーで、かなり楽しめた。少なくとも「閉ざされた森」なんかよりも良くできている。ジョン・キューザックやレイ・リオッタ、レベッカ・デモーネイといった顔を知っている俳優も出演しているが、多くのキャストが無名。しかし、それぞれのキャラクターはきっちりと描き分けられており、見ていて混同することはないのは、脚本と演出が上手くいっている証拠だ。

 実を言うと「アイデンティティー」というタイトル及び精神科医の登場で勘の鋭い観客なら読めないネタではないのだが、その“まさか、そこまではしないだろう”という予想を裏切って、ほとんど反則とも言えるラストに強引に連れて行く力業というか思い切りの良さというか、そのあたりの覚悟のほどが実に頼もしい。

 個人的には警官役で登場したリオッタが中盤以降“ああ、やっぱりね”という役柄になっていくのには笑ってしまった。
コメント
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