元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

最近購入したCD(その4)。

2006-10-22 07:36:36 | 音楽ネタ
 最近買ったディスクを懲りずに紹介します(^^;)。



 まずは、ニューヨークの地下鉄駅で4年前からストリートライヴをおこない、口コミで評判が伝わった結果、今回めでたくメジャーよりデビューした女性シンガーソングライター、スーザン・ケイグルのファースト・アルバム「ザ・サブウェイ・レコーディングズ」。

 CDショップの試聴コーナーでは“アヴリル・ラヴィーンの黒人版”みたいな惹句が踊っていたが、まあ確かに似ていないこともない。ただし楽曲の(表面的な)出来自体は、手練れのプロデューサーを従えたラヴィーンに分がある。もっとも、ケイグルの歌声はふっくらとソウルフルで聴きやすく、メロディも素直で、これはこれで悪くない。

 それよりも本アルバムの最大のセールスポイントは、地下鉄駅でのライヴ収録であるところだろう。ラッシュアワーのタイムズ・スクエアと深夜のグランド・セントラル駅にてレコーディングされているが、これが実に臨場感豊かなのだ。見物人の拍手はもちろん、雑踏や行き交う電車の音も捉えられており、それにヴォーカルと伴奏との距離感をもしっかりと再現する。オーディオ的にかなり面白い素材であり、これだけで一聴の価値は十分にある。



 次に紹介するのは、チョン・ミュンフンがフランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団を振ったラヴェルの「ダフニスとクロエ」全曲版だ。

 ラヴェルの名盤といえば、アンドレ・クリュイタンス指揮の往年の録音を思い出す音楽ファンも多かろう。演奏だけならこれを凌ぐディスクはいまだ存在しないかもしれない。ただし、さすがに録音は古くなってきた。デジタル録音での代表盤としては、シャルル・デュトワ&モントリオール響の一連の作品が有名だが、このチョン・ミュンフン盤はどうだろうか。

 極めて精緻な演奏だと思う。色気は不足しているが、そんなことよりまずはスコアを微分的に解析して明快に音楽を形作っていこうという意思が感じられる。その意味では成功だろう。ただし、クリュイタンス盤などと比べて聴いて面白いかというと、意見は分かれると思う。

 残念なのはあまり録音が良くないこと。音場が埃っぽく、帯域によってはヘンな強調感がある。約20年前のデュトワ盤にも及ばない。要するに、聴き疲れのする音だ。エンジニアの奮起を促したい。



 最後は、誰でも知っているジャズの名盤、マイルス・デイヴィスの「カインド・オブ・ブルー」。何を今さらと言われそうだが、ジャズ初心者の私が購入したのはつい最近だ。

 ハードバップから「モード」に移行する時期の、新時代のジャズとして持て囃されたディスクらしいが、私はそんな難しいことは分からない。ただ言えるのは、演奏が実に美しいことだ。各プレーヤー(凄い豪華メンバーである)が奏でるしなやかな音色、スリル満点の掛け合い。緊張感の中にある微妙なリラックス感。噂通りの素晴らしさだ。

 さらに驚くべき事は、録音の優秀さ。1959年のレコーディングなのに、ついこのあいだ録られたような鮮度である。40年以上前のディスクがこれだけのクォリティを示してるということは、最近のジャズの新譜なんか聴く価値があるのだろうかと、不遜なことを思ってしまった。とにかく音楽ファンなら必携の一枚であろう。
コメント
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