元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ヨコハマメリー」

2006-10-06 06:44:34 | 映画の感想(や行)

 どうもよく分からない映画である。私は90年代半ばあたりまでに横浜界隈に出没したという白塗りの老娼婦“メリーさん”のことなど何も知らない。もちろん、横浜の街自体に特別な思い入れなどない。そんな当方のスタンスとは関係なく、映画は“戦後の横浜歓楽街の移り変わり”を当時の関係者の証言を元に淡々と提示するのみ。

 別に面白いエピソードが聞けるわけでも、社会に対する明確なメッセージがあるわけでもない。ただ思い出話を流しているだけである。監督は本作がデビューとなる30歳の中村高寛だが、いったい何を考えてこのドキュメンタリー映画を作ったのか不明だ。

 また、重要なキャラクターとして“メリーさん”と親しかったシャンソン歌手の永登元次郎が出てくるが、彼を“主人公”にした方がよっぽど面白いものに仕上がっただろう。作劇のポイントを見出していない印象を受ける。

 個人的に思い入れのある素材を漫然と追うことしか出来ないのなら、劇場でカネ取って見せる必要はない。

 あと腹が立ったのが、全編デジカム撮りの薄汚い画面で、その上(劇場側の配慮不足かもしれないが)画面サイズが合っておらず、テロップさえハミ出している箇所が散見されたこと。これは“商品”としての映画の体裁が取れていない“粗悪品”である。

 とにかく、横浜の街と“メリーさん”に興味のある者以外はお呼びではないシャシンで、大多数の映画ファンにとっては観る価値のないシロモノだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする