気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人6月号 同人のうた その3

2014-06-21 18:28:05 | 短歌人同人のうた
泣きごとはうたはぬと昔いひし人いまも短歌をつくつてゐるか
(金沢早苗)

嫌なこと考えないし記憶しないそう決めて脳は白い空き部屋
(大橋麻衣子)

動物を飼えぬマンションリビングにマトリョーシカの一家住ませる
(川島眸)

幻想は桜散る夜の言葉かな 終身雇用は昔のはなし
(梶田ひな子)

ねむつてゐる言葉をしづかに呼び出だす序詞のやう雨にうるほふ
(渡英子)

佳い日とはどんな日だろうお天気が晴れただけでも気分は良いが
(橘圀臣)

つかむ手のひとつとてなき吊革が利根川わたる電車に揺るる
(小池光)

原稿の責めを果たして守りから攻めに転ずるごとく街行く
(西勝洋一)

トロッコの客とはなりて指示どほり保津川下りの船に手をふる
(中地俊夫)

パンジーの花におどろきの表情あり三月の雪に半ば埋れて
(大森益雄)

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短歌人6月号、同人1欄より。